不登校・登校しぶりは「学校に行けない状態」ではなく、子どもが学校で必要とされる対応スキル”の負荷が限界を超えた状態と捉えることができます。
つまり、
- 対人関係のスキル
- 困ったときの対処法
- 自分の気持ちの伝え方
- 朝の準備の進め方
- 不安の扱い方
これらがうまく機能しないと、子どもは学校という複雑な環境に耐えられなくなることがあります。
SST(ソーシャルスキルトレーニング)は、本来は対人スキルの練習ですが、登校しぶりには 「登校に必要な行動スキル」を分解して、練習する という形で応用できます。
そこで今回は、家庭でできる 登校支援につながるSSTについてお話していきます。
Contents
登校しぶりの背景
- 朝の不調による身体症状(頭痛・腹痛)
- 学校内のストレス(対人関係・授業・提出物)
- 自己肯定感の低下
- 不安の増大
- 失敗経験の蓄積
- どう助けを求めればいいかわからない など
こうした要因から学校へ行くことへの負担感が増していき、学校に行きたくない気持ちが膨らみます。
研究的にも、不安を抱える子ほど避ける行動を取りやすく、避けるほど不安が強くなることが知られています。

登校しぶりにSSTが有効な理由
理由①:「困ったときの言い方」を知らないだけの子が多い
登校しぶりの多くは、学校で困ったときにどう改善したらいいか、誰に、どう伝えればいいかがわからないという状態になっています。
SSTを通して、困った場面でどのように対処していけばいいのかを具体的にトレーニングすることによって、不安が軽減されます。
理由②:行動を分解して練習すると成功体験が作りやすい
登校は「朝起きる」「支度」「出発」「学校へ行く」という複数スキルの連続しています。
この複数のスキルのどこの部分で躓いているのかを分析することによって、スモールステップを意識した課題を作って成功体験を積み重ねやすくなります。
理由③:ロールプレイで「不安を可視化」できる
不安は「何が不安かわからないけど、なんだか不安・・・」というような、曖昧な状態が一番不安が強くなります。
SSTで場面を具体化して、ロールプレイをしていくことによって不安を細分化することにつながります。

子どものつまずきを可視化するチェックリスト
(当てはまるものに☑)
- □ 起きられない/布団から出られない
- □ 朝になると腹痛・頭痛が出る
- □ 食欲がない
- □ 不機嫌・無言が続く
- □ 準備の手順がわからなくなる
- □ そわそわ・イライラしている
☑のついた項目が多いほど → 身体的・不安的負荷が高い可能性
- □ 顔を洗う
- □ 着替える
- □ カバンに教材を入れる
- □ 朝食
- □ 靴下
- □ 家を出るタイミング
複数該当 → “行動の分解”でSSTが有効
- □ 教室に入る瞬間
- □ 廊下を歩くとき
- □ 先生に会う時
- □ 友だちとの会話
- □ 授業中に当てられるとき
- □ 昼休み・休み時間
- □ 体育・音楽など特定の教科
該当が多いほど → “場面ごとのSST”が有効
(子どもと一緒に☑をつける)
- □「行きたくない気持ちがわからない」
- □「行きたいけど行けない」
- □「行くのを考えるだけで苦しい」
- □「誰に相談したらいいかわからない」
- □「嫌なことが整理できていない」
- □「頑張れと言われるのがつらい」
☑のついた項目が多いほど →感情SST(言い方・伝え方)を優先
- □ 起きられた
- □ 顔を洗えた
- □ 着替えられた
- □ 家を出る準備をした
- □ 1時間目だけ行けた
- □ 保健室まで行けた
- □ 先生に挨拶できた
- □ 助けを求められた
ささいなことでもできたことが見えると、翌日の行動が改善しやすい

家庭でできる「登校SST」の基本ステップ
●ステップ①:登校のどこがしんどいかを特定する
- 朝の支度がしんどい
- 学校に着いた瞬間が嫌
- クラスに入るのが怖い
- 先生に会うのが緊張
- 友だちと目が合うのが怖い
- 授業中に当てられるのが不安 など
場所と時間帯と理由を明確にするのがコツ!
●ステップ②:その場面で「どうしたいか」を言語化
- 「一人で準備できるようになりたい」
- 「教室に入るのを手伝ってほしい」
- 「嫌なときに“やめて”と言えるようになりたい」
- 「当てられたときに落ち着いて話したい」
ステップ③:必要な対処スキルを一緒に考える
- 嫌なときの断り方
- 助けを求める言い方
- 先生に“困っている”を伝える方法
- 緊張したときの深呼吸
- 入室時の行動(手を振る、目だけ合わせるなど小さなスキル)
ステップ④:親子でロールプレイ(練習)
親:教室の先生役
子:練習する子ども役
子:「今日はちょっとしんどいので、保健室から行ってもいいですか」
先生(親):「もちろん。自分のタイミングで教室に来ていいからね」
練習は 30秒でOK。短く・成功しやすく が鉄則!
ステップ⑤:翌朝、できた部分を“必ず”ほめる
できたことをその場ですぐにほめることで、子ども自身のやる気につながります。
- 「今日、靴下まで履けたね!」
- 「先生にちゃんと挨拶できたの、すごい」
- 「保健室まで行けたのは大きな一歩だよ」
ささいなことでも、できたを見つけてほめていくことが大切!
登校SSTがうまくいかないときの改善ポイント
①子どもが本当に疲れている
何かにチャレンジするエネルギーが枯渇している場合、まずはエネルギーを回復させるための休養が優先です。
②そもそも原因が特定できていない
子どもがどこに躓いているかがわからないと、練習の効果は出ません。
③親が説得してしまっている
SSTは子ども自身が納得して行う必要のあるトレーニングで、説得してやらせるものではありません。
④子どもにとってハードルが高すぎる
課題のスモールステップ化を見直してみると、成功率が上がるかもしれません。
ご家庭で使えるサポートグッズ・本の紹介
朝のしんどさや気持ちの言葉にしづらさを少しだけ楽にするための補助アイテムとして、参考になりそうなものをまとめました。
「あとどれくらい?」が一目でわかるこのタイマーは、「まず5分だけ準備してみようね」といったスモールステップにとても役立ちます。
時計が苦手な子や、朝の支度で固まりやすい子におすすめです。
冬場は朝が暗く、起きづらさや気分の落ち込みが強くなりがちです。
起床時間にあわせて少しずつ明るくなるライトは、生活リズムを整えるサポートになります。
「何が嫌なのか説明できない」「うまく言葉が出てこない」子には、上記のような感情カードが役立ちます。
親子で「今はどんな気持ちかな?」と一緒に見ながら確認するのがおすすめです。
上記の本は子ども達が今困っていることにモンスターの名前を付けて、攻略法をまとめてくれています。
子どもにとってもキャッチーでわかりやすい文章になっているので、親子でモンスターを退治するためにはどうしたらいいかを楽しく考えるツールとしておすすめのシリーズです。
おわりに
今回は、登校しぶりにSSTを活用していく方法についてお話していきました。
今回の内容はあくまで例であって、すべての子どもに合うとは限りません。
それでも、何かを踏み出すための一歩のヒントとして活用してもらえたら嬉しいです。
今回も読んでいただきありがとうございました。
※この記事には一部生成AIの文章が使われています。









