発達障害と聞くと、男の子に多いというイメージを持つ方も少なくないのではないでしょうか。
実際に、男女比を見てみるとデータによって差はありますが、だいたい「男の子:女の子」が3:1~4:1ぐらいとされています。
そこで今回は、なぜ男の子が女の子に比べて発達障害と診断されることが多いのかや女の子の発達障害で困ることはあるのかについてお話ししていきます。
Contents
なんで発達障害は男の子が多いの?
発達障害と聞いてママ達が思い浮かべる姿はどんなものでしょうか。
- 落ち着きがない
- すぐに手が出る
- 自分勝手に行動する
- 片づけができない
- 忘れ物が多い
こんな姿を思い浮かべるママがほとんどだと思います。
こういった目立った行動をするのは、どちらかというと男の子が多いものです。
目立った行動をしていると、それだけで診断や支援の必要性を感じやすくなります。
発達障害の診断基準も、こうした目立った行動を基に考えられている面もあるため、こうした行動をしがちな男の子が発達障害の診断を受けやすくなるのです。

では、女の子は発達障害になりにくいのでしょうか。
女の子は発達障害になりにくいの?
発達障害=男の子に多い、という認識だけでいくと、女の子が発達障害と診断されることはあまりないのだろうなと誤解されることがよくあります。
実際には、女の子の場合は男の子に比べて全体的に大人しく相手に合わせて行動することが多いため、問題行動が目立ちにくいということが発達障害の診断率の低さにつながっています。
しかし、大人しく問題がないように見える女の子の中にも、「生きづらさ」を感じながら日々過ごしている子も少なくありません。
特に、思春期にさしかかってくるとうまく適応することができずに苦しんでしまう子がよく見受けられます。
また、女の子の場合には
「家の中ではかんしゃくが激しいのに、学校の中では大人しく過ごしている」
のように家庭の外で過剰適応をしているパターンもあります。
こうした、集団に合わせようと頑張りすぎてしまうことが発達障害の女の子にとっては「生きづらさ」につながりやすいのです。

では、具体的に発達障害の女の子の場合にはどんなことにこまってしまうのでしょうか。
発達障害の女の子はどんなことに困るの?
具体的に発達障害の女の子がどんなことに困るのかを
- ADHD
- ASD
それぞれの特性に合わせてお話ししていきます。
ADHDの女の子
ADHDと聞くと、いわゆる落ち着きのない感じや乱暴な感じをイメージするママも多いのではないでしょうか。
たしかに、男の子の場合にはそういった側面がよく見られるのも事実です。
しかし、女の子のADHDで特に多いのは「不注意」の傾向です。
忘れ物が多い、片付けられないといった行動に現れることが多く、あまり深刻にとらえられないことがよくあります。
また、衝動性が行動で現れることは少ないのですが、おしゃべりが止まらない、友達の会話に割り込むといった形で現れることがあります。
こうした姿も
「女の子はおしゃべりなもの」
と考えられてしまい、なかなかADHDの特性だと気づいてもらえないことも少なくありません。
こうした行動が改善されないまま思春期を迎えると、「自己中」や「空気が読めない子」と思われて孤立してしまう危険性があります。

ASDの女の子
自閉症スペクトラム障害は、男の子だとこだわりが強い、視線が合いにくいなどの姿から診断につながりやすいです。
しかし、女の子の場合は一人でごっこ遊びやおままごとをしていても、大人しく遊べていると捉えられてしまい特性に気づかれにくくなってしまいます。
また、女の子だと指示を聞いて素直に従ってくれることも多いので、そうした点も気づかれにくさにつながっています。
小さい頃は「大人しい子」で過ごせていても、思春期頃から女の子同士のグループでの付き合いの難しくなってきた時に、特性の気づきにつながるパターンがとても多いです。
身だしなみに気を使わない、同年代の女の子が興味を持つものに惹かれない、冗談を真に受けて思ったことを言葉にしてしまう、こんな行動から孤立してしまうことがあります。
思春期の女の子の場合だと、会話でのコミュニケーションがメインになりやすく、仲良しのグループで固まって過ごしたいという思いも強くなりがちです。
ASDの女の子は、そうした輪にうまく溶け込めずに孤立しやすいという点が特に困ることだと思います。
子ども自身もうまく言い表せない違和感から、体調不良を訴える頻度が高くなるのも思春期の特徴になります。

では、こうした女の子の困ったにはどのように支援をしていけばいいのでしょうか。
発達障害の女の子の困ったにはどうしたらいいの?
発達障害の女の子には、
- 薬物療法
- 社会的なルールを教える
- 本人が相談に行ける場を整える
のような支援が必要になってきます。
薬物療法
ADHDの衝動性を抑えるために薬が効果的ということはだんだんと知られてきています。
では、衝動性があまり見られない女の子にはあまり効果がないのかというとそういうわけではありません。
気分の波を整える、不安や緊張を和らげる、こうしたことのために薬を使うことが効果的な場合もあります。
精神に作用する薬と聞くと不安な気持ちになってしまうママも少なくないのではないでしょうか。
しかし、子どもの困ったを減らすための選択肢の一つとして考えていただけると、それだけでやれることの幅も広がります。
薬の中には、漢方も含まれていて副作用の少ないものもあるので、お医者さんと相談しながら子どもに合ったものを選べるといいと思います。

社会的なルールを教える
発達障害の女の子は、「恥ずかしい」という感覚がわからずに困ってしまうことがよくあります。
身だしなみを整える必要性、人前では肌を見せないようにする、こうした大人が当たり前と思うようなことがわからないのです。
社会の中には、「普通ならしないだろう」というような暗黙の了解がとても多いです。
こうした暗黙の了解を理解することが、発達障害の子どもは苦手なので「このくらい」と思わずに丁寧に教える必要があります。
ママ達から説明することも大切ですが、すべてを網羅することはとても大変です。
言葉でひたすらに説明されるよりも、自分のペースで本を読み進めて知識を蓄えることの方がやりやすい子どももいるのでこうした本を活用してみるのもいいかもしれません。
本から得た知識を実践できるようにご家庭ではフォローしていただけると、より効果的なのでママ達も一緒に本を読んでみるのもおすすめです。

本人が相談に行ける場を整える
思春期になるとなんでもママに相談するということは減っていきます。
中には、「家族だからこそ相談しにくい」と感じる子どもも少なくありません。
そうした時に、家族以外で本人が相談に行ける場所を用意しておくことが、思春期の発達障害の女の子には必要になります。
- 担任
- 養護教諭
- スクールカウンセラー
- かかりつけ医
- 塾の先生
こうした本人にとって身近に感じる人から、相談につなげられないかを探してみるのがいいと思います。
女の子の場合、同性の方が話しやすいと感じることもあるかもしれないので、そうした点も踏まえることも大切です。
本人にとって話しやすい人かどうか、という視点が何よりも大切なので無理強いせずに本人と相性のいい人を探してみてほしいです。

発達障害の女の子のことを知るためにおすすめの本
この本は、発達障害の特性についてわかりやすくまとめられています。
思春期の人間関係の悩みなども事例を踏まえて紹介してあり、親子で一緒に読みながら勉強していただくのもいいと思います。
思春期前でも、事前にこうした知識を頭に入れておくと、実際の場面になった時に焦らずに対応ができるのではないでしょうか。
おわりに
今回は発達障害の女の子の場合に困ることは何かについておはなししていきました。
女の子場合、集団に溶け込むことを男の子以上に求められる機会も少なくありません。
そうした時に苦しくなってしまった子どもを今まで何人も見てきました。
特性が気づかれにくいからこそ、気づかれた時には自信をなくして無気力になってしまう子どもも中にはいます。
今回の記事が、子どもの困り感に気づく手助けとなったら嬉しいです。
今回も読んでいただきありがとうございました。







