春休みに入り、すっかりとリラックスしている子どもも多いのではないでしょうか。
ようやく休みに入った安心感もありますが、新年度に向けてのカウントダウンも始まってドキドキしている子どもも少なくありません。
そうした雰囲気の中、
- 来年度のクラス編成がどうなるか心配
- 今年度と同じような配慮を来年度もしてもらいたい
- 不登校のまま小・中学校を卒業して、進学先でどうなるのか不安
といった相談を受ける機会が増えてきます。
「学校に協力してほしいけど、どこまでお願いできるのかがわからない」
このような悩みを持たれている方も多いのではないでしょうか。
そこで、今回は学校に配慮をお願いしたい時のご家庭からの要望の出し方についてお話ししていきます。
Contents
どんなことを学校に相談するの?
今までの相談の中で、特に多かったのは
- クラス編成
- 授業中の配慮
- 不登校の進学に関する不安
この3点に関するものでした。
①クラス編成
これは、
- 「○○ちゃん(くん)と同じクラスにしてほしい」
- 「○○ちゃん(くん)と同じクラスにはしてほしくない」
といった内容がほとんどでした。
- 登校渋りなどの不安がある子が、登校への目的になるよう仲良しの子と同じクラスにする。
- 一緒になるとトラブルになりやすい子同士は、なるべく同じクラスにはしない。
こうしたことは、先生方も配慮してクラス編成を行っています。
しかし、先生から見た子ども同士の仲と子どもから見た姿に違いがあることもよくあります。
そのため、子どもから不安の声が出てきたら、学校に相談してみるのもおすすめです。

②授業中の配慮
特に、発達障害などの特性のある子どもの場合、こうした授業への配慮を求める相談が多くなります。
- 書くことが苦手なので、漢字の書き取りの宿題の量を減らしてほしい
- 板書を授業中に書き終えられないので、タブレットでの入力を認めてほしい
- 提出物を出し忘れることが多いので、時折声をかけてほしい
- 見通しが持てないと不安になりやすいので、授業の流れを最初に説明してほしい
今までもこのような相談がよくありました。
ご家庭からはどのように配慮してもらえるのかわからないことも多いので、私の方から「こうした支援ができるかもしれないので相談してみましょう」と提案させていただくことも数多くありました。
子どもそれぞれに特性があり、みんなが一律の支援がいいわけではないので、その子にあった支援はどのようなものがいいのかを見極めることも大事なポイントです。
もし、子どもが授業中に困っているようだけどどのような支援が得られるのかわからない、ということでお困りのことがあればぜひお近くのスクールカウンセラーに相談してみてください。
スクールカウンセラーは、子どもの困ったに合わせてできる支援を一緒に考えていくお手伝いができます。

③不登校の子の進学に関する不安
小学校6年生や中学校3年生の時点で不登校だと、その後の進学先でも不登校になってしまうのではないかという不安を抱えているご家庭はとても多いです。
スクールカウンセラーは、中学校の学区で担当を持っていることが多いので、進学先の中学校に関する情報はある程度は集められます。
しかし、高校になるとご家庭で情報を集めていただく必要があるため、どのような点を確認すればいいのかを一緒に考えさせていただくこともありました。
中学校卒業後も継続して支援してもらえる、地域の相談機関等の情報提供をすることもありますが、相性もあるため事前に相談に行っていただくのをおすすめすることも多かったです。

では、こうした不安について学校に要望を出す際に、どのようにすればいいのでしょうか。
学校への要望の出し方
学校に要望を出す際に気を付けてほしいのは、
- 担任
- 学年主任
- 校長などの管理職
この優先順位で話をするということです。
いきなり担任の先生を飛び越えて校長先生に話に行くのはおすすめしません。
きちんとした手順を踏んで相談に行っていただくことで、話がスムーズに運べるのでその点は気を付けていただきたいです。
相談の方法としては、
- 連絡帳で伝える
- 電話で伝える
- アポを取って直接伝える
この3つが主な方法です。
特に、①、②の方法は軽い相談であれば手軽にできるのでおすすめです。
しかし、クラス編成のことや授業中の配慮をお願いするなどのような具体的な内容を伝えた方がいいものに関しては、できる限りアポを取って直接先生と話していただいた方が効果的です。

では、具体的にどのように要望を伝えていけばいいのでしょうか。
要望って具体的にどう出せばいいの?
一番最初に出した3つの例を使って具体的な伝え方をお話ししていきます。
来年度のクラス編成について
クラス編成の要望が、数ある要望の中でも一番多いかもしれません。
- 引っ込み思案なので仲良しの子が一人でもいてほしい
- よくトラブルになってしまう相手がいるので、クラスを離してほしい
- 保護者間でトラブルになったことがあるので、クラスを離してほしい
このような思いでクラス編成の要望につながるパターンがよく見られます。
基本的には、上記のようなことをそのまま伝えていただいて大丈夫です
しかし、トラブルが原因でクラスを離してほしいという要望を伝える際には、相手が嫌だから離してほしい、というような伝え方ではなく、トラブルが続くとお互いのためによくないからというような形で伝えていただくと否定的に取られなくていいと思います。
また、要望を伝えた際に担任の先生の意見も聞いておくと安心です。
学校での子どもの姿は、家庭で見せる子どもの姿と違うことも多いので、先生の意見は非常に参考になります。
こうしてお互いの考えを共有していく中で、よりよい選択肢が見つかっていくかもしれません。

来年度の配慮について
発達障害などの特性がある子どもの場合には、配慮についての要望を出すことがあります。
通級などに通っていれば個別支援計画が作成されていて、その計画に沿った配慮が得られます。
しかし、通級などに通っていないけれどなんらかの配慮があると安心、といった場合もあります。
たとえば、
- 一斉指示の後に、個別で声かけをしてほしい
- 板書を書くのがゆっくりで追いつかないので、板書を写真に撮りたい
- 作品などを作る時にお手本をできれば用意してほしい
のような配慮が考えられます。
また、「去年の先生はいろいろと配慮してくれたのに、今年の先生はほとんど配慮してくれない」といった言葉も聞きます。
先生それぞれに配慮の質が異なってしまうのはどうしても出てきてしまうため、今年度の先生とどこまでの配慮だったら先生が無理なくできそうか、ということを相談していただくとこうしたギャップが少なくなるかもしれません。

不登校の中学校進学について
小学校6年生の段階で不登校だと、その後の中学校生活に不安を感じるのは当たり前の感覚です。
できれば進学先の中学校に事前に相談に行っていただくのが安心ですが、いきなり中学校に連絡を入れるのはハードルが高いと思います。
なのでスムーズに相談につながる方法としては、小学校の校長先生を通じて中学校の校長先生に相談希望の連絡を入れてもらう、という方法です。
そうして中学校との相談につながった際には、
- 中学校の不登校支援
- 適応指導教室やフリースクールなどの情報
- 不登校になった際の学校との連絡のやり取りの方法
このようなことを確認していただくのがいいと思います。
特に、これから通うことになるであろう中学校の不登校支援の情報を確認しておけると、心構えなどの事前準備もできます。
もしも中学校の不登校支援があまり期待できないとなった場合には、適応指導教室やフリースクールなどの居場所となるような支援先の情報も併せて集めておくとより安心です。
不登校の子どもの場合、学習の遅れも心配です。
こうした学習支援を活用するのもおすすめです。
要望はあくまで学校への協力を依頼するもの
確実に叶うものではないので、その点は念頭に置いておく!
授業での困り感の背景にLDが隠されているかもしれません。子どもの気になる様子の中で、見ていくポイントや支援の方法についてまとめてあります。
もし進学した後も、不登校が続いてしまった時に居場所として活用できるところにフリースクールがあります。フリースクールはどんなところかや探し方のポイントについてまとめてあります。
おわりに
今回は、新年度に向けての学校への要望の出し方についてお話ししていきました。
最後のポイントでも書きましたが、こうした要望を伝えたからといって必ずしも要望通りに叶うというわけではありません。
しかし、伝えないよりははるかに可能性が高くなるので、少しでも心配なことがあるようでしたら相談にいっていただくことをおすすめします。
もしも、こうした要望を学校に出していいのか心配、といったお悩みがありましたら地域のスクールカウンセラーかこのブログのお問い合わせなどを使って確認していただくと安心です。
今回も読んでいただきありがとうございました。









