普段の生活の中で、
- 「やってほしくないことに限ってやりたがる」
- 「言うことを聞かないで好きなことばかりやっている」
- 「やるべきことを指示してもやってくれない」
このようなことで悩んでいるママもいるのではないでしょうか。
そこで、今回はご家庭でできる子どもの行動を変えるための支援の方法についてお話ししていきます。
Contents
子どもの行動を分類してみよう
子どもの行動は一日を通してさまざまなものが見られます。
その行動すべてが、変えてほしい行動ばかりではないと思います。
そこで、子どもの一日の行動を
- ママから見てしてほしい(増やしたい)行動:ex)友達に順番をゆずる、お手伝いをする
- ママから見てしてほしくない(減らしたい)行動:ex)ぐずぐずと文句を言う、時間通りに動かない
- 許せない行動:ex)友達に手を出してしまう、だまってどこかに出かける
の3つに分類することから支援の方針は決まっていきます。
行動の分類を3日ぐらい続けてみると、子どもの行動パターンが見えてくるかもしれません。

では、実際にどのような支援をしていけば子どもの行動は変わるのでしょうか。
①してほしい行動を増やそう
してほしい行動を増やすために一番効果的な方法は「ほめる」ことです。
こう聞くと当たり前のように感じるママも少なくないのではないでしょうか。
しかし、ほめるやり方にもさまざまな方法があり、子どもに伝わる言葉でないと効果が半減してしまう可能性もあります。
子どもをほめる際のポイントは、
- 子ども自身ではなく、子どもの行動をほめる
- してほしい行動ができたらすぐにほめる
- 誰かと比較しないようにほめる
の3つを意識していただくのがいいと思います。
では、具体的にはどのようなほめ方がいいのでしょうか。
①子どもの行動をほめる
言葉だけだと当たり前のように感じるかもしれませんが、具体例を見てみるとわかりやすいかもしれません。
たとえば、子どもが自発的にお手伝いをしてくれた時、
- 良いほめ方:「あなたが手伝ってくれて、ママは助かったわ。ありがとう」
- 悪いほめ方:「いい子ね、えらいわ」
のようなほめ方があるのではないでしょうか。
どちらも「ほめる」ということはできていますが、子どもに伝えた時により伝わりやすいのが良いほめ方です。
子ども自身が何か行動を起こした結果ママからほめられた、ということをわかりやすくするためにもほめる際には子どもの行動もセットで伝えていただくのが効果的です。
悪いほめ方でも、「お手伝いをしてくれるなんていい子ね」のように伝え方を工夫すると伝わりやすくなります。

②すぐにほめる
子どもがしてほしい行動をしてくれた時に、すぐにその行動をほめてあげると非常にその出来事が子どもにとって印象深い出来事になります。
大人でもあると思いますが、過去のことをほめられた時に嬉しい気持ちと共に「なんで今更?」という気持ちが出てきます。
特に、数日前の出来事を思い出したかのようにほめられると、子どもからすると嘘っぽく感じてしまうこともあります。
なので、できる限りしてほしい行動をしている最中かその直後にほめる、ということを意識していただくとより子どもに伝わるのではないでしょうか。
もし、忙しくてすぐに伝えられなかったときは、「さっきは伝えられなかったけど、○○ができてとてもすごいなと思ったよ。ママはちゃんと見てたからね」のように伝えると、子どもにとっても嬉しいと思います。

③誰かと比較しない
誰かと比較しない、と言われてもそんなことをしたことがない、と感じているママもいるのではないでしょうか。
具体的にどのようなほめ方が考えられるかというと、学校で飾られた子どもの絵を見た時に、
- 良いほめ方:「色使いが上手で、見ていて楽しくなる素敵な絵だったね」
- 悪いほめ方:「あなたの絵が一番、色がキレイで上手だったよ」
というほめ方が考えられます。
良いほめ方は子どもの絵のことだけ触れているのですが、悪いほめ方は「一番」の言葉の通りクラスの子と比較してのほめ方になってしまっています。
悪いほめ方では、子どもも嬉しい気持ちはあるものの、他の子よりも上手でなければいけないのか、一番でないとほめてもらえないのか、といった気持ちにつながりやすいです。
また、比較とは少し違うのですが、ほめる際に「でも、もっと早く手伝ってくれたらよかったのに」や「ママの言う通りにしてたからできたでしょ」のような言葉をつい付け足してしまうこともできる限り避けた方がいいかもしれません。

子どもをほめる時には、子どものしてほしい行動をその場でわかりやすく伝える!
②してほしくない行動を減らそう
してほしい行動を増やしたい時にはほめることが効果的でした。
では、してほしくない行動を減らすときに効果的な方法とはどのようなものでしょうか。
子どもがしてほしくない行動をしている時、普通であれば注意をしたり止めに入ったりするかもしれません。
しかし、子どもからすると注意するママ達の反応が構ってもらえたというご褒美のように感じてしまうことがあります。
なので、してほしくない行動を減らす時には「無視をする」ことが非常に効果的です。
無視という言葉だと悪い印象があり、誤解をされるかもしれません。
ここでいうという無視とは、子どものしてほしくない行動に対して反応しない、という子どもの良
くない行動に対して無反応でいることを言います。
子どものしてほしくない行動には反応せずに無視をする!
無視することが難しい場合には、ママ自身が他の行動に集中する!
③許せない行動を制限する
ママ達から見て子どもの許せない行動はどんなものがありますか?
さまざまな行動が出てくると思いますが、大きく分けると
- 友達やきょうだいなど、自分以外の誰かを傷つけてしまう
- 自分の身に危険が及ぶようなことをしてしまう
といったことになるのではないでしょうか。
子ども自身やほかの誰かがけがをするようなことは、何よりも許せない行動だと思います。
こうした許せない行動を制限するためには、
- 明確な指示を出す
- 短時間行動を制限する
- 効果的な罰を与える
のような対処の仕方が考えられます。
どの対処の仕方も、事前にご家族でしっかりと話し合った上で、全員が納得した形で進めることが大切です。

①明確な指示を出す
子どもがハサミを持って走り回ったり、振り回したりしている場面があった時に、
- ×「危ないからやめなさい」
- △「ハサミを持ったまま走り回ると危ないよ」
- 〇「今すぐハサミを机の上に置きなさい」
のような声かけの仕方が考えられます。
子どもに伝わる指示として一番効果的なものは、三番目の伝え方です。
子どもに具体的に何をしてほしいかを短い言葉で伝えることが子どもの行動を制限するためには必要です。
この時に、怒ったような口調で伝えるのではなく、なるべく感情のこもらない淡々とした口調で伝えていただくとより効果的だと思います。

②短時間行動を制限する
療育の場面でも用いられるのですが、子どもが良くない行動をした際に子どもの行動を制限することがあります。
専門用語ではタイムアウトと呼ばれる手法が、子どもの許せない行動を制限するために効果的です。
具体的にどのようなものかと言うと、
- 周りに何もない場所に椅子を置く(家族の目の届く範囲内)
- 子どもが良くない行動をした時に警告する
- 3回ほど警告しても止めなった場合、用意した椅子に1~10分間座らせる
- 座っている間はお互いに何もしない
- 時間が終わったら、終了を告げて普段通りに戻る
のような方法です。
ポイントとしては、事前に子どもにタイムアウトのルールを伝えることとタイムアウトが終わった後に説教をしないことです。

③効果的な罰を与える
罰と聞くととても辛くひどいもののように感じてしまうかもしれません。
しかし、効果的に罰を使うことによって子どもの許せない行動を制限することができるのも事実です。
たとえば、子どもが家の中でボール遊びをした時に、
- ボース遊びは外でするように伝える
- 3回ほど伝えても止めなかった時に、「ボールを持って外に行かないと、ボールを10分間取り上げるよ」と伝える
- それでも止めなかったときに、ボールを10分間取り上げる
- 10分後、「ありがとう、10分経ったから返すね」と言ってボールを返す
のような方法ができます。
上記の例での罰は、子どもから10分間ボールを取り上げることです。
ボール以外にも、ゲーム機やスマホを取り上げることも罰の一種になるのではないでしょうか。
ここでのポイントは、罰は短時間のみにして数日など日を跨ぐ罰は行わないことです。
短い罰にすることによって、子ども自身が自分の行動を振り返る経験につなげることが、このやり方の最も重要なポイントになってきます。

おわりに
今回は、子どもの行動を変えたい時の対処の仕方についてお話ししていきました。
いくつかたとえを出しましたが、子どもそれぞれやっている行動も効果的な伝え方が異なります。
ご家庭内でやってみてうまくいかないと感じた場合には、スクールカウンセラーなどの専門家に相談していただくのもいいのではないでしょうか。
今回も読んでいただきありがとうございました。








