学校などの集団生活の中では、まわりに合わせて行動することを求められる場面がとても多いです。
- 「まわりをよく見て行動しなさい」
- 「なんでこんなこともできないの」
- 「普通にやればできるでしょ」
こんな風な言葉を投げかけられることにあるかもしれません。
特に、発達障害の子どもにとっては「普通」ということがわかりにくいため、集団生活に疲れ果ててしまうことがよくあります。
そこで今回は、まわりに合わせようと頑張りすぎて疲れてしまった時の対処法についてお話ししていきます。
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そもそも普通ってなんだろう?
物事を説明するときによく、「普通」という言葉が使われています。
子どものことを注意するときにも、
「普通に考えればわかるでしょ」
という言葉を使ったことがあるママも多いのではないでしょうか。
人は暗黙の了解や物事の流れを踏まえて行動することを、無意識のうちに「普通」のことと考えがちです。
しかし、そうした物事が普通だと感じられるようになるまでにはさまざまな経験を積まなければなりません。
経験値の少ない子どもに、大人が思う普通を望むことが難しい場面も少なくありません。

みんなが思う「普通」は、感覚的なものが多く言葉で説明しようとすると難しいこともあります。
場の空気や暗黙の了解、一般常識、こうしたことを組み合わせて「普通」が出来上がります。
どうにか頑張って普通を目指しても、「できて当たり前」と思われてしまうことが発達障害の子どもにとって負担になってしまいます。

では、発達障害の子どもたちにとって普通が難しい場面はどんなものがあるのでしょうか。
発達障害の子どもにとっての普通の難しさって何?
上記でもお話ししたように、みんなが考える「普通」はとても曖昧で言葉で説明することが難しいものです。
発達障害の中でも、
- ADHD
- ASD(自閉症スペクトラム)
- DCD(発達性協調運動症)
こうした特性を持っている子どもはそれぞれが違う難しさを持っています。
①ADHD
ADHDの特性でよく知られているのは、多動や不注意といった行動面のものが多いのではないでしょうか。
- 気を付けているのにミスが多い
- 間に合うようにと早めに準備をしても、いつの間にか約束の時間を過ぎている
- 片付けが苦手で、大事なプリントなどをなくしてしまう
どれも「ちょっと気を付けたらできるでしょ」と思われてしまいそうなことばかりだと思います。
しかし、ADHDの特性として集中力を持続させることが難しいため、上記のようなちょっと気を付けなければならない作業はとても相性が悪いです。
本人にやる気があっても、それが必ずしもうまくいくわけではないので、自信をなくしやすく人からも「だらしがない」と誤解されやすいのがADHDの子どもにとっての普通の難しさになるかもしれません。

②ASD(自閉症スペクトラム)
ASD(自閉症スペクトラム)の特性でよく知られているのは、自分の好きなものへのこだわりが強くコミュニケーションに課題があるというものだと思います。
- 言葉を真に受けすぎてしまい、冗談に対して過剰に怒ってしまう
- 先生によって宿題のやり方が違うことに混乱して、新しいやり方に馴染めない
- 友達とのおしゃべりで何を話していいのかわからず、自分のすきなものを一方的に話してしまう
どれも「そんなことで」と思われてしまいやすいような些細なものだと思います。
しかし、ASDの特性として感覚的なものを理屈で考えようとしてしまうため、そんなことという感覚を理解するのはとても難しいです。
本人としては「普通」に行動しているつもりでも、まわりから見ると「変わったやつ」と誤解されてしまうのがASDの子どもにとっての普通の難しさになるかもしれません。

③DCD(発達性協調運動症)
DCD(発達性協調運動症)の特性は、運動機能に不器用さがあり生活での困り感が多いことです。
- みんながすぐに終わらせられる作業にとても時間がかかる
- 自分では丁寧に作業したつもりが、雑にやっているように思われる
- 何とか追いつこうとすると、ミスが多くなってしまう
「これぐらいできるでしょ」と思われるような作業が、DCDの子どもにとっては職人の技術を求められているような感覚になってしまいます。
DCDの特性として、日常的な動き全般が苦手なことにより作業がゆっくりになってしまいやすいため、「のろまで怠けているやつ」と誤解されてしまうのがDCDの子どもにとっての普通の難しさになるかもしれません。

では、こうした子どもたちの難しさが積み重なって疲れてしまった時の対処法にはどのようなものがあるのでしょうか。
頑張りすぎて疲れてしまった時の対処法3選
本当は頑張りすぎないように環境を整えたり、作業を見直したりすることが一番の対処法だと思います。
しかし、生活を送っていく中でどうしても頑張らなければならないという場面も少なくありません。
頑張って対処ができても、疲れ果ててぐったりしてしまっては長くは続きません。
そこで、
- 睡眠を整える
- 運動をする
- 生活のリズムを一定にする
こうしたことを意識できると疲れが少しずつ減っていきます。
①睡眠を整える
発達障害の子どもは、特性的に睡眠が不安定になりがちです。
睡眠は脳を休めるためにとても重要な働きをしているため、睡眠が不安定だと疲れが残りやすくなってしまいます。
なので、睡眠を整えることが疲れてしまった時にはとても大切です。
- お風呂は寝る直前にならないようにする
- 寝る前のルーティーンを作って意識的に寝る準備をしていく
- 寝る時間が近くなったらスマホをみないようにする
こうしたことを子どもにも意識して取り組んでもらい、睡眠を整えることがおすすめです。
もし、どうしても睡眠が安定しないことがあれば、病院に相談に行くのもいいかもしれません。

②運動をする
上記の睡眠を整えることにもつながりますが、運動をして日中の活動量を増やすとよく眠れます。
激しい運動をする必要はなく、ちょっとストレッチや筋トレをしたり少し散歩したりするだけでも大丈夫です。
ADHDの子どもの場合は、日中走り回っていることが多いと思うのでそこまで意識的に運動させようとしなくてもいいかもしれません。
ですが、DCDの子どもの場合は運動の苦手さを本人も感じているため、体を動かすことに消極的になりやすいため、散歩などに誘ってみるのもおすすめです。

③生活のリズムを一定にする
ついつい大人になると休日に寝だめをしようと遅くまで寝てしまうことがあるかと思います。
子どもたちも休みの日ぐらいはゆっくり寝たいという気持ちになるのも理解できます。
しかし、日によって睡眠時間がバラバラだと疲れが残りやすくなってしまうので、なるべく休日でも寝る時間と起きる時間は変えないようにすることが日々の疲れを減らす第一歩でもあります。
日中は活動量を多めにして、午後になったら少しずつ活動量を減らしていく
こうしたポイントを意識して生活することも、疲労を減らすためには大事なポイントになります。

おわりに
今回はまわりに合わせようと頑張りすぎて疲れてしまった時の対処法についてお話ししていきました。
どれも普通のことのように思えるかもしれませんが、発達障害の子どもからするとこうした普通のことを当たり前にすることがとても難しいことです。
日々の生活の中で、「納得できない」「なんかうまくいかない」「頑張ってやっているのに」こうした思いを抱えている発達障害の子どもは少なくありません。
まわりの大人が「もしかして」という視点を少し持つだけでも、子どもたちにとって助けになることもあります。
目いっぱい頑張った生活をさせないためにも、少しでも今回のお話が参考になったら嬉しいです。
今回も読んでいただきありがとうございました。








