ここ数年、学校の保健教育の取り組みで「ストレスコーピング」という概念が取り入れられるようになってきました。
このコロナ禍の状況や、現代の子ども達を取り巻く環境は大きく変化して、そのことにストレスを感じている子どもも少なくありません。
子どもに限らず、ここ数年の社会情勢の変化や人間関係などさまざまなことにストレスを感じる大人も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、ストレスを感じた時に大人も子供もできる「ストレスコーピング」についてお話ししていきます。
そもそもストレスって何?
普段、私たちは「ストレス」という言葉を何気なく使っています。
しかし、子どもに「ストレス」ってどんなものと聞かれるとわかりやすく説明するのが難しく感じるのではないでしょうか。
学校では、ストレスのことを子ども達にもわかりやすいように何かしらの出来事や状況に出てくる心の荷物のようなもの、というような表現で説明されることが多いです。
荷物に例えると人それぞれ持てる量が違うことや、自分の荷物と友達の荷物が違うことにも気付きやすくなります。
実際にいろんな荷物を持ってみて、自分の限界以上の荷物を持ったらどうなるか、ということを体感してみてそれが心の中でも起こると話してあげるとより理解も深まります。
ストレスとは心の荷物のようなもの
持てる量や場面ごとの荷物の大きさは人それぞれ違うから、自分の持てる量を把握して、対処の仕方を探していこう
では、人はストレスの量が限界を迎えるとどうなってしまうのでしょうか。
ストレスがいっぱいになるとどうなるの?
実際に自分の限界まで荷物を持ってもらうとわかりやすいかもしれませんが、ストレスという心の荷物がいっぱいになってしまうと動きたくても動けなかったり、すべてを投げ出して逃げ出したい気持ちになったりするのではないでしょうか。
心の中のことなので、実際に重さがあるというわけではないですが、それでも体が鉛のように重く感じたり、体の具合が悪くなったりすることもあります。
また、長い期間ストレスを限界まで抱えていると心の病気につながってしまう可能性も出てきます。
・体が疲れやすい
・憂鬱な気分がずっと続く
・体調が悪くなる
・いろんなことにやる気が起きなくなる など
このような状態で日常を過ごしていくのはとてもしんどいことだと思います。
大事なことは自分が今、ストレスを感じているんだということを把握して、限界を迎える前に対処することです。
では、ストレスが限界を迎えないためにできることは何かあるのでしょうか。
ストレスってどうやって対処したらいいの?
ここで、一番最初にお話しした「ストレスコーピング」という概念の出番です。
ストレスコーピングとは、ストレスに対する意識的な対処のことをいいます。
もう少しわかりやすく説明すると、ストレスを感じた時にストレスを軽減させるために自分で意識して行動したことをストレスコーピングと呼びます。
荷物の考え方で言うところの「荷物整理の仕方」がストレスコーピングに近いかもしれません。
どんな荷物をどのように対処していくのかやり方は人それぞれです。
きっちり分類してしまう人もいれば、そこら辺に置きっぱなしにする人、持ちきれないからと捨ててしまう人もいるかもしれません。
その人に合った荷物整理の方法があるのと同じように、ストレスの対処の仕方も人それぞれ違うのです。
大事なのはストレスがあるなと感じた時に、自分に合ったストレスコーピングが少しでも多くあることです。
荷物の整理にも棚や仕切りなどがたくさんあった方が整理しやすいと思います。
ストレスコーピングも同じで、種類がたくさんある方が選択肢の幅が広がりさまざまな場面で活用できるようになっていくのです。
では、具体的にどのようなことがストレスコーピングになるのかというと、
- どんな時にストレスを感じたのかノートにまとめてみる
- 好きな音楽を聴く
- お気に入りのコップで飲み物を飲む
- 散歩に行く
- 友達とおしゃべりする
- 家族に愚痴を言う
- 本棚の整理をする
- ゲームをする
- 飼っているペットと遊ぶ
- 好きなお菓子を食べる など
のような気軽にできるものになります。
どんなことでも自分にとって「これならできる」というストレスコーピングを持っていることが重要です。
ストレスコーピングの種類に良し悪しがあるわけではありません。
できるだけいろんな種類のストレスコーピングを使えた方が、心身共に健康でいられる近道になります。
自分に合ったストレスコーピングをできるだけたくさん見つけて、ストレスと上手に付き合う方法を見つけよう

おわりに
今回はストレスコーピングについてお話ししていきました。
普段、スクールカウンセラーとして勤務している時に子ども達とストレスコーピングについて話すことがあります。
その中で、子ども達のストレスコーピングの種類の少なさに驚かされます。
相談の中ではわかりやすくリフレッシュの方法を考えているのですが、出てくるリフレッシュ方法は2,3個程度で終わってしまうことがほとんどです。
少ないストレスコーピングを使いまわすのは最初のうちはいいのですが、段々と立ち行かなくなってしまいます。
なので、相談の中ではさまざまな案をお互いに出し合って、その子だけのストレスコーピングリストを作成していきます。
その後、実際に使ってみてどうだったかの振り返りをして、その子だけのストレスコーピングリストを一緒に作り上げていくのです。
ご家庭でもママ達のリフレッシュ方法などを子ども達に教えてあげたり、一緒にさまざまな案を出し合ったりしていただくのもいいと思います。
その際には、その後の振り返りまでセットでやっていただくとより効果的です。
また、このブログのコメントでママ達がさまざまなリフレッシュ方法を書いてくだされば、それをみんなで共有していけるかもしれません。
いろんな人の考えを取り入れられると考え方も柔軟になっていきます。
今回も読んでいただきありがとうございました。
また次回も読んでもらえると嬉しいです。