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スクールカウンセラー

お腹が痛くて学校に行きたくない!不登校につながるかもしれない過敏性腸症候群って何?

学校の相談の中で、時折

  • 学校に行く直前にお腹が痛くなってしまい、トイレから出られない
  • テスト前の緊張でお腹が痛くなる
  • 授業中にトイレに行きたくなったらどうしようと不安になる
  • お腹が痛くなるのが嫌だから、朝ご飯は食べたくない

といった話を聞くことがあります。

お腹の痛みは強弱の差はありますが、誰しもが経験したことがあるはずです。

しかし、上記のような悩みを抱えている子たちは、そうしたお腹の痛みを感じる機会が多くなっています。

こうした悩みから、外出への不安を感じ不登校につながってしまうケースも少なくありません。

そこで、今回はお腹の痛みが頻繁に起こる原因になっているかもしれない、過敏性腸症候群についてお話ししていきます。

そもそも過敏性腸症候群ってどんな病気?

TVなどでも取り上げられる機会が増えてきて、過敏性腸症候群という名前を聞いたことがあるママも少なくないのではないでしょうか。

過敏性腸症候群とは、大腸などに腫瘍や炎症がないにもかかわらず、お腹の不調が数ヶ月以上続く病気のことを言います。

症状の出方は人によってさまざまで、お腹の不調が続くことによって精神的に不安定になってしまうこともあります。

日常生活に支障が出ることもあるので、子どもが困っている姿を見て気づくママも少なくありません。

では、具体的にはどのような症状が出てくるのでしょうか。

過敏性腸症候群の4つの症状

過敏性腸症候群には、

  1. 下痢型
  2. 便秘型
  3. 混合型
  4. ガス型

といった4つの症状が出てきます。

①下痢型

緊張からお腹が痛くなりやすく、下痢が頻繁に起こるのがこの症状のタイプの特徴です。

突然お腹の痛みが起こるため、どんな場面かに関係なくトイレに行きたくなってしまいます。

いつ起こるかわからないお腹の痛みへの不安から、トイレにすぐに行けない場面への拒否感が出ることもあります。

  • 「トイレに行きたくなったらどうしよう」
  • 「トイレに行けないかもしれないのは不安」

こうした不安がお腹の痛みにつながってしまうのも、この症状を抱えた子には苦しいポイントです。

②便秘型

何日も排便ができず、そのせいでお腹の中が常に重たく不快感が続くのがこの症状のタイプの特徴です。

便秘型は女の子に多くストレスでお腹の動きが悪くなってしまうことも影響しています。

  • 「トイレに行くのは恥ずかしい」
  • 「安心できるところじゃないとトイレに行けない」

こうした気持ちから、トイレを我慢し過ぎてしまったことが発症につながることもあります。

③混合型

下痢と便秘を交互に繰り返してしまうのがこの症状のタイプの特徴です。

ストレスだけではなく、腸の構造に原因があることも考えられるので、こうした症状が続いた時には専門医の受診がおすすめです。

日によって出てくる症状が違うため、さまざまな不快感を抱えていることもあります。

  • 「お腹の調子がよくなることはあり得ない」
  • 「なんだかずっとお腹の辺りがすっきりしない」

こうした気持ちが続いて、精神的に不安定になってしまう危険性も高いです。

④ガス型

お腹の中にガスが溜まりやすく、おなかが張って頻繁におならが出てしまうのがこの症状のタイプの特徴です。

においがキツイことも多く、人前でおならが出てしまうことへの恐怖感も感じている子も少なくありません。

緊張や不安から空気を飲み込みすぎてしまい、お腹の中でガスとして溜まってしまうことも影響しています。

  • 「おならのことで友達にからかわれて嫌だった」
  • 「おならが出るかもしれないから外出したくない」

こうした気持ちから、外出ができなくなってしまうこともあります。

では、こうした症状が出た場合、どんな病院を受診すればいいのでしょうか。

受診先はどこがいいの?

もし子どもが過敏性腸症候群かもしれないと感じたら、

  • 内科
  • 消化器内科

この2つが受診先として一般的なものになります。

治療に長期間かかることもあるので、なるべく通いやすい場所で探していただくのもいいと思います。

受診の際には、

  • いつぐらいから
  • どんな時
  • どんな症状
  • その日の食事内容
  • 困ったポイント

といった内容をメモして持っていくと、診察の際に説明しやすくなるのでおすすめです。

では、過敏性腸症候群ではどのような治療が行われるのでしょうか。

過敏性腸症候群の治療方法は?

過敏性腸症候群は病院を受診し、症状や状態に応じて

  1. 薬物療法
  2. 心理療法
  3. 生活習慣の改善

この3つの治療を行っていきます。

①薬物療法

過敏性腸症候群の薬といってもさまざまな種類があり、この症状だからこの薬と簡単に決まるわけではなく、専門の医師との相談の上で処方されます。

過敏性腸症候群で処方される薬
  • 下痢止め
  • 痛み止め
  • 整腸剤
  • 漢方
  • 便秘薬
  • 抗うつ薬
  • 抗不安薬   など

どんな薬が処方されるにしても、どんな効果があって副作用はどうなのかなどをしっかりと確認していただくことが大切です。

過敏性腸症候群では、お腹の痛みなどの身体症状以外にも不安や抑うつ気分などの精神症状が出ることもあるので、抗うつ薬などの精神に作用する薬を処方されることもあります。

子どもの症状に合った薬なのかをきちんと医師や薬剤師に確認して、子どもの生活が楽になっていければいいのではないでしょうか。

②心理療法

上記でもお話ししたように、過敏性腸症候群はストレスによって症状が起こりやすい病気でもあります。

そこで、心理療法によってストレスとの上手な付き合い方を身に付けていくことによって、症状の改善を図ることも行っていきます。

ストレスとの上手な付き合いについては以前このブログでもお話ししたことがあるのでそちらも参考にしてください。

こうしたストレスコーピング以外にも、自律訓練法と呼ばれる方法で体と心をリラックスさせる練習も行っていきます。

自律訓練法のやり方
  1. 自分にとって楽な姿勢を取る
  2. 目を閉じてゆったりとした呼吸を繰り返す
  3. 手足の感覚が重たいと感じる
  4. 手足の感覚が温かいと感じる
  5. ゆったりとした気持ちを感じる
  6. 目を開けて両手をグーパーしたり、大きく伸びをしたりする(消去動作)

③、④で手足の感覚について最初のうちは何も感じないこともありますが、数日続けていくうちに感覚が掴めるようになっていきます。

慣れてくると日常のちょっとした隙間時間でできるようになるので、日常的にリラックスを取り入れられるのでおすすめです。

③生活習慣の改善

現代では、子ども達も習い事などで日々忙しく生活していることが多く、生活習慣が乱れやすくなっています。

そうした生活習慣の乱れからお腹の不調が来ていることもあります。

生活習慣の改善ポイント
  • バランスの取れた食事
  • 規則正しい睡眠時間
  • お風呂はシャワーだけで済まさずに湯船につかる
  • 朝起きたら太陽の光を浴びる            など

こうしたポイントを踏まえて子どもの生活習慣を見直していただくことも、過敏性腸症候群には必要になってきます。

おわりに

今回は不登校の理由につながるかもしれない過敏性腸症候群についてお話ししていきました。

普段、私が相談を受けている子ども達の中にも過敏性腸症候群の症状を抱えている子も少なくありません。

いつくるかわからないお腹の痛みに悩まされて外出すらままならなくなってしまう子どもを何人も見てきました。

周囲から「たかが腹痛ぐらいで」と言われてしまうこともあり、そうした生活に傷ついている子どももいます。

今回の記事で、少しでもそうした子ども達を減らす手助けができたらと思います。

今回も読んでいただきありがとうございました。