普段の相談の中で、
「子どもから悩みを打ち明けられた時に、どういう風に聞いてあげればいいのか困っている」
「ついアドバイスをしてしまっているけれど、子どもにとってそういう対応は良かったのか悩む」
という話を聞く機会が時折あります。
特に、不登校傾向の子どもに学校に行かない理由を聞き出そうとしてしまい、上記のような言葉が出てくるママが多いように感じます。
そこで、今回は子どもからさまざまな悩みを打ち明けられた時に使える簡単なカウンセリングテクニックについてお話ししていきます。
Contents
相談を受ける時の意識はどうすればいいの?
カウンセラーは相談を受ける時に、話してくれる人に安心してもらえるような雰囲気づくりを重視しています。
実際にどのようなことをしているのかというと、
- 自己一致
- 受容的態度
- 共感的理解
の3つを意識した対応を取っています。
言葉だけだとわかりにくいと思いますので、簡単にお話ししていきます。
①自己一致って何?
自己一致と言われても何が何だかわからないと思いますが、簡単に言うとママ達の気持ちが落ち着いていて、穏やかな状態で子ども達に向き合える状態のことを言います。
ママ達の心の余裕がない時に、いくら子どもから悩みを打ち明けられても思うように聞いてあげることは難しいと思います。
また、ママ達が忙しそうにしていると子ども達も遠慮して話しかけにくいのではないでしょうか。
なので、気持ちと時間に余裕がある状態を作り出すことが、子どもから話を聞く上では重要になってきます。
②受容的態度って何?
言葉から何となくイメージがしやすいかもしれませんが、子どもの話を否定せずにそのまま受け入れる態度のことを言います。
つい、子どもから話を聞いているとアドバイスをしたり、矛盾点を追及したりしてしまうこともあるかと思います。
ママ達が良かれと思ってさまざまなアドバイスをしてあげても、子どもからするとちゃんと話も聞いてくれてないのに邪魔された気持ちになっているかもしれません。
ママ達も、もしかしたらパパに愚痴を聞いてもらっている時に求めていないアドバイスをされてイライラしたことはありませんか?
子ども達もそんなママ達と同じ気持ちにその時はなっているかもしれません。
アドバイスをしてあげることは決して悪いことではありませんが、まず子どもの話を最後まで聞いてあげて、子ども自身がアドバイスを聞きたいなと思ったタイミングで伝えてあげた方がより効果的です。
また、子どもの話し方によっては矛盾があるように聞こえたり、子ども自身にも非がある場合があったりすることもあるのではないでしょうか。
そうすると、つい矛盾を追及したり子ども自身の悪いところを反省させようとしたりしてしまいたくなってしまいます。
話の途中でママ達から話の矛盾や自分の悪いところを指摘されると、子ども達は素直に受け止められません。
なので、じっくり話を聞いていく中で子ども自身が自分で気付けるように話を聞いてあげることも大事なポイントです。
そのためには、子どもの話を否定せずにそのまま受け入れる受容的態度が求められます。
③共感的理解って何?
受容的態度と似ている部分がありますが、子どもの物事に対する考え方や理解の仕方通りに子どもの話を理解することを言います。
表面的に取り繕って話を聞いている姿は子どもでも敏感に感じ取ります。
子どもが感じたままを理解したい、という思いを持ってママ達が話を聞いてくれると子ども達も「ちゃんとわかってもらえている」という気持ちになってくれるのではないでしょうか。
大人でも自分の話を理解してくれない人には、あまり話したい気分にはならないと思います。
子ども達も大人と同じかそれ以上に「自分のことをわかってもらいたい」という気持ちがあります。
なので、子ども達の言葉を子ども達の考えた通りに聞いてあげる力が大事なポイントです。
自分の気持ちや時間の余裕がある時に、子どものありのままを受け止めて、子どもが感じた世界をそのままの姿で感じようとしてあげることが重要!
では、実際にどのような話の聞き方をしてあげると子ども達は話しやすくなるのでしょうか。
子どもの話を聞くときのコツは?
子どもから話を聞くときに意識してほしいポイントは3つあります。
- 話を無理に聞き出そうとしない
- 言葉だけではない、話を聞いている時の態度も気を付ける
- 話の内容が具体的になるように、明確化してあげる
①話を無理に聞き出そうとしない
つい、子どもの表情が暗かったりいつもと様子が違ったりしていると
「どうしたの?」
「何があったの?」
と聞き出そうとしがちです。
すぐにでも聞いてほしいなと思っている子どもなら、上記のような聞き方でも話してくれると思います。
しかし、話そうかどうか悩んでいたり、話してもわかってもらえないのではないかと不安に思ったりしている子どもは、上記のように聞かれてしまうと警戒してしまいます。
「どんな風に話したら怒られないかな?」
「都合の悪いことは隠しちゃおう」
このような考えにつながりやすいです。
これでは、事実とは違った話になってしまう可能性が高く、子どもが何に困っているのかが見えにくくなってしまうのではないでしょうか。
なので、話を聞き出そうという気持ちではなく、困っていることがあるなら助けたいという気持ちがあることを子どもには伝えてほしいです。
具体的には、
「表情がいつもと違うから心配だよ」
「なんだか気持ちが落ち着かないように見えるね」
のようなママから見た子どもの様子などを伝えていただくのがいいと思います。
その時に、「困ったことがあったらいつでも助けになるからね」というメッセージも伝えていただくのもいいかもしれません。
②言葉ではない、話を聞く時の態度
態度と言っても、そこまで難しい話ではありません。
会話の途中で頷いたり、相槌を打ったりすることをいつもより意識的にやってみるのがポイントです。
よくありがちなのが、会話の途中でどうしても気になるところが出てきてしまい、子どもの話を遮って確認に入ってしまうパターンです。
そうすると、どんどん話が本筋からズレてしまい子どもが話したかったこととは別の話になってしまいます。
また、相槌を打とうと意識するあまりに機械的な反応になってしまう可能性もあるので、あくまで自然な相槌ということを覚えておいていただくといいと思います。
相槌のパターンも
「そっか~」
「ふ~ん」
のようなものだけだと、ちゃんと聞いてもらえているか不安になりやすいので、
「それは辛かったね」
「○○(子どもの言葉の表現から取る)だったんだね」
のように会話の内容を盛り込んだ相槌だと、より子どもが話しやすくなるのではないでしょうか。
③話の内容をわかりやすく明確にしてあげる
カウンセラーの技法の1つに「明確化」というものがあります。
これは、言葉でうまく表現できないものを言語化できるようにして心の整理を手伝うことを言います。
言葉が出てこなくて困っている子どもに対して、
「○○ってことかな」
「それは悲しい気持ちになったんじゃない」
のように代弁してあげることも明確化の1つです。
また、話の内容の中で子どものイメージと聞いた側の受け取りにすれ違いがないかを確認するために、
「これって○○ってこと?」
「私は○○だと感じたんだけど、これで合ってる?」
のような聞き方をすることもあります。
また、子どもが気持ちのことについて話してくれた時にはその時どんな行動をしたのか、行動について話してくれた時にはどんな気持ちだったか、という形で聞いていただくとやりやすいと思います。

おわりに
今回は子どもからさまざまな悩みを打ち明けられた時に使える簡単なカウンセリングテクニックについてお話ししていきました。
今回お話ししたことをすべてやろうとしなくても、ママ達が一生懸命子どもの話を聞こうとしている姿は子ども達にも伝わっているはずです。
普段、私も子ども達から話を聞かせてもらっている中で、ママに相談に乗ってもらっているという子が非常に多いです。
その中で、うまくママに伝えられずに自分の悩みがわかってもらえてないのではないかと訴える子も少なからずいます。
子ども達に「ママにはどんな風に聞いてもらえたらよかったかな?」と聞いてみると、
「自分が言ったことを否定せずに、最後まで話を聞いてほしい」
という答えがとても多いです。
なので、このことだけでも意識して話をきいてもらえるのが子どもにとって救いになるのではないでしょうか。
今回も読んでいただきありがとうございました。
また次回も読んでもらえると嬉しいです。