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現役スクールカウンセラーの子育て応援ブログ
スクールカウンセラー

現役スクールカウンセラーが語る、スクールカウンセラーになる方法

中学校では、子どもが相談に来る機会がよくあります。

相談の中で、嬉しいことに

「将来、自分もスクールカウンセラーになって、自分と同じような悩みを持つ人のサポートがしたい」

と話す子どもが時折います。

その時に、

「どうやったらスクールカウンセラーになれるか?」

という質問も同時に受けることが多いので、今回はスクールカウンセラーになる方法についてお話ししていきます。

スクールカウンセラーってどんな職業?

普段、小学校の中を見回っていると子ども達から、

「スクールカウンセラーって何する先生なの?」

という質問をされることがよくあります。

私自身、その質問に対しては

「みんなが困っていることや不安に思っていることがある時に、一緒に解決策を考える先生だよ」

という答えを返しています。

しかし、実際には子ども達の対応だけではなく、保護者への相談業務や先生方へのコンサルテーション、研修業務など仕事の幅は多岐に渡ります。

また、相談に来る人の話を聞くだけではなく、専門的な見立てによって環境調整を行ったり、研修会なども実施して心理面のサポート方法などを伝えたりすることもスクールカウンセラーの業務です。

なので、スクールカウンセラー=子どもや保護者の相談に乗る人という認識だけでいると、実際の業務とのギャップを感じるかもしれません。

文部科学省では、スクールカウンセラーの業務を

  1. 児童生徒に対する相談・助言
  2. 保護者や教職員に対する相談(カウンセリング、コンサルテーション)
  3. 校内会議等への参加
  4. 教職員や児童生徒への研修や講話
  5. 相談者への心理的な見立てや対応ス
  6. トレスチェックやストレスマネジメント等の予防的対応
  7. 事件・事故等の緊急対応における被害児童生徒の心のケア

引用:文部科学省:2 スクールカウンセラーについて

と定義しています。

特に、⑦事件・事故等の緊急対応における被害児童生徒の心のケア、という業務ではショッキングな事件や事故の緊急対応に行くこともあるので、ある程度の覚悟も必要になってきます。

また、上記の定義には含まれていませんが、最近は相談の内容の中に福祉資源の助言が必要な場面が増えてきているため、福祉的なサポートをするソーシャルワーカーのような業務も担うこともあります。

そのため、スクールカウンセラーには心理の知識だけではなく、福祉などの周辺領域の知識も一定程度求められてきます。

 

では、スクールカウンセラーにはどんな資格が必要でどんな勉強をすればよいのでしょうか。

スクールカウンセラーに求められる資格とは?

以前、ブログの中でスクールカウンセラーの仕事内容について触れた記事で資格のこともまとめてあるので、そちらも読んでみてください。

スクールカウンセラーには、主に

  1. 臨床心理士
  2. 公認心理師

の2つの資格が求められます。

自治体によっては、教職員の経験があること学校心理士の資格を持っていることなどでもスクールカウンセラーとしての採用が可能なところもあります。

今回は、私自身も取得している臨床心理士と公認心理師の勉強法について触れていきます。

臨床心理士も公認心理師もどちらも心理の専門家の資格ではありますが、前者は民間資格で後者は国家資格という違いがあります。

臨床心理士の方が知名度はまだ高いと思われますが、国家資格という強さはありません。

2つの資格を取得するエネルギーがあるならばその方がいいのですが、勉強が大変で1つだけで精一杯という場合は公認心理師の資格取得を目指していただくのがおすすめです。

 

では、公認心理師の資格はどのようにして得られるのでしょうか。

公認心理師の資格の取得方法は?

公認心理師の受験資格はさまざまな基準があり、2021年の段階ではA~G(D区分はD1とD2にわかれる)の8つの区分に振り分けられます。

それぞれの区分について説明すると、

A区分4年生大学で指定科目を履修+大学院で指定科目を履修
B区分4年生大学で指定科目を履修+指定の施設で2年以上の実務経験
C区分外国の大学で指定科目を履修+外国の大学院で指定科目を履修
D1区分2017年9月15日より前に大学院で指定科目を履修
D2区分2017年9月15日より前に大学院に入学し、2017年9月15日以後に指定科目を履修
E区分2017年9月15日より前に4年生大学で指定科目を履修+2017年9月15日以後、大学院で指定科目を履修
F区分2017年9月15日より前に4年生大学で指定科目を履修+指定の施設で2年以上の実務経験
G区分5年の実務経験+講習の受講

となっています。

現在、公認心理師は資格ができたばかりということもあり、経過措置が受験区分の中に盛り込まれています。

D~G区分が経過措置として設置されていて、中でもG区分に関しては2022年度の受験を最後に経過措置の期限が切れてしまうので、もしG区分での受験を考えている人がいたら注意が必要です。

これから大学受験等を目指す人に関しては、A・B区分の指定科目を受講できる大学を意識して選んでいただくといいと思います。

 

では、実際の試験に向けてはどのように勉強していけばいいのでしょうか。

おすすめの勉強方法は?

おすすめの試験の勉強方法を

  1. 臨床心理士・公認心理師、共通の勉強方法
  2. 臨床心理士の勉強方法
  3. 公認心理師の勉強方法

の3つにわけて紹介します。

①共通の勉強方法

臨床心理士も公認心理師もどちらも心理の知識が求められるものになってきます。

なので、心理用語に関する知識をすぐに引き出せるような学習をしておくことが重要です。

下記のような心理の知識を一問一答形式で覚えていくのが、試験勉強の下地作りに役立つと思います。




②臨床心理士の勉強方法

臨床心理士の勉強方法としては、1次試験が筆記試験と論述試験になるので主に筆記試験の対策がメインとなってきます。

臨床心理士の試験は2時間半で100問の問題を解かねばならず、時間配分を間違えてしまうと全問解けない可能性もあります。

なので、勉強法としては実際の知識を取り入れるとともに、模擬試験や過去問なども活用して実際の試験さながらの勉強をしていくことがおすすめです。

私自身は、






の3つの参考書を主に使って勉強してきました。

③公認心理師の勉強方法

公認心理師は、年度ごとに試験範囲として「ブループリント」と呼ばれる資料が発表されています。

ブループリントには、それぞれの領域の出題割合や抑えるべきポイントが書かれているので、受験する年のブループリントを必ずチェックする必要があります。

基本的には、テキスト等を使って知識の整理していきながら、ブループリントに沿って抑えるポイントを絞っていくやり方になると思います。

公認心理師の試験も開始から数年経っているため、過去問も出回るようになってきているので、過去問から問題の傾向を見ていくことも重要です。

また、公認心理師は事例問題の配分が多くなっていることもあるので、事例問題に特化した問題集などを活用してみるのも効果的です。





上記のようなテキストを使いながら勉強するとわかりやすいと思います。

 

これまで紹介してきたテキスト以外にも、予備校に入って勉強をしたり、同じ試験を受ける友達同士で勉強会を開いたりしながら勉強を進めていくのもおすすめです。

人それぞれ合う勉強方法が違うと思うので、自分に合った勉強方法を試行錯誤しながらやってみるのもいいのではないでしょうか。

おわりに

今回は、スクールカウンセラーになる方法についてお話ししていきました。

勉強方法以外にも、向き不向きなども気になる方がいるかもしれません。

私が個人的にスクールカウンセラーに向いていると思うのは、精神的に安定していてあまり他者に感情移入しない人だと思います。

日頃からさまざまな相談を受けていく中で、時にはとても苦しい話を聞くこともあります。

そうした話を聞いて相談に来た人の話に飲み込まれてしまうと、自分自身を保つことが難しくなってしまうこともあります。

もし、感情移入しすぎて自分も落ち込んでしまうかも、という人がスクールカウンセラーになりたいと考えたら、自分は感情移入しすぎてしまうところがある、と常に意識しながら行動していただくのがいいかもしれません。

また、感情移入しない=共感しない、というわけではないのでその点は誤解しないようにしてください。

私自身、仕事の時は一生懸命話を聞いて対応について考えますが、職場を離れたら仕事のことは考えずに気持ちを切り替えるようにしています。

時折、どうしても引きずられてしまうケースもありますが、その場合もなるべく別のことに意識を集中させて気持ちを切り替えるように心がけています。

自分なりのスイッチのオンオフを見つけて、自分がやってみたいと思うことにチャレンジができるといいですよね。

今回も読んでいただきありがとうございました。

参考サイト

スクールカウンセラーとして長年勤務されてきた、半田一郎先生がスクールカウンセラーのこれまでの歴史をわかりやすくまとめてくださいました。

カウンセラーが学校現場で活躍できるまでに、どのような背景があったのかを知るために非常に参考になると思います。