新年度が始まって約1か月が経ちました。
新しい友達、新しい先生、新しい生活に一生懸命適応してきた子どもたち。
しかし、ゴールデンウィークが明けた頃から、
- 「なんだか元気がない」
- 「学校を休みたがる」
- 「よく泣くようになった」
こうした変化が見られることはありませんか?
それは、子どもが心の疲れを感じているサインかもしれません。
そこで今回は、現役スクールカウンセラーの視点から、小学生・中学生の「五月病」の実態、サインの見つけ方、親や教師ができる具体的な対応について、お話していきます。
子どもにもある「五月病」とは?
「五月病」とは、新しい環境に適応しようと頑張った結果、心や体に疲労がたまり、やる気が出ない、体調がすぐれないなどの症状が出る状態を指します。
五月病は医学的に正式な病名ではありませんが、新生活が始まって少し経ったこの時期に起こりやすいことから、こうした名称が使われています。
五月病と聞くと大人だけがかかるものだと思われがちですが、実は子どもにも同じような現象が見られます。
子どもにとってもこの時期は環境が大きく変化して心身ともにストレスを抱えやすいので、注意が必要です。

- クラス替えや担任の変更:それまで安心できていた人間関係がリセットされ、新しい人間関係を築くプレッシャーがかかります。
- 教室や座席、学習スタイルの変化:教室の場所が変わったり、学年によって勉強方法が変わることで、緊張や不安を感じやすくなります。
- 通学路の変更:知らない道、混雑するバスや電車を使うなど、小さな変化が日々のストレスになります。
- 部活動への加入や人間関係のスタート:特に中学生では、先輩後輩の関係や新たなルールの中で動くことに精神的な負担を感じます。
- 新しい友達との関係づくり:初対面の相手と関係を築こうと努力すること自体がストレスになることもあります。
- 「ちゃんとしなきゃ」という意識:遅刻しないように、忘れ物をしないように、失敗しないように…という意識が心を消耗させていきます。
こうした環境の変化は、見た目以上に子どもの心に負担を与えていて、非常に大きなストレスとなり、心身に疲労が蓄積しやすくなります。

こんな変化は「五月病」のサインかも
- 身体面
- 情緒面
- 行動面
- 対人関係
【身体面】
- 朝、何度声をかけても起きられない。アラームを止めてまた寝てしまう。
- 「お腹が痛い」「頭が重い」と言って登校を渋る。登校時だけ訴えることが多い。
- 病院では異常なしと診断されるが、症状を繰り返す。
- 朝ごはんを食べなくなる、好きなメニューでも箸が進まない。
- 夜中に目が覚めてしまったり、寝つきが悪くなる。寝る直前まで不安を訴えることも。
- トイレが近くなる、頻繁に行く。
こうした状態が長く続くことで、登校しぶりから不登校につながることもある

【情緒面】
- 「うざい」「ムカつく」など、乱暴な言葉が増える。普段は使わないような言葉遣いをする。
- ちょっとした注意に過剰に反応して泣き出す。「もういい!」と叫んで部屋にこもることも。
- いつも好きだったことに対しても「めんどくさい」と言うようになる。
- 表情が乏しく、笑顔が減る。まるで“やる気の電源”が落ちたように見えることも。
- 「どうせ…」「自分なんて」といった自己否定的な言葉を漏らすことがある。
- 以前は楽しそうに話していた学校の話題を避けるようになる。
心の疲れがにじみ出て感情の変化につながることを意識する!

【行動面】
- 宿題や連絡帳の確認を拒否する。「どうせできないから」とやる前から諦めている。
- スマホやゲームに没頭して現実から逃避するか、逆にまったく手をつけなくなる。
- 教科書や持ち物の準備が雑になる、忘れ物が増える。前日までしていたことを急にしなくなる。
- 家の手伝いや日課を「だるい」と避けるようになる。
- 帰宅後すぐに布団に潜り込む。休むことで何とか心を保っている状態。
- 「時間がない」「面倒くさい」を口実に、やるべきことを先延ばしにする。
今までの行動と比較して、どうなっているかを見ることが大切!

【対人関係】
- きょうだいや友達に対してトゲのある言動が増える。「うるさい!」「あっち行って!」など攻撃的になる。
- 会話が極端に減る、もしくは急にベラベラと一方的に話すようになる。
- 家族のそばにいるのに「構わないで」と言うようになる。過干渉を嫌うが、実は心の支えを求めていることもある。
- 登校前になると不機嫌になったり黙り込む。「今日は行きたくない」とポツリとつぶやく。
- 学校の話を聞かれると話題をそらしたり「別に」「ふつう」としか言わない。
- 親に「学校どう?」と聞かれると、急に無口になったり逃げるように席を立つ。
親子・友人との距離が近くなる・離れるどちらの変化も要注意!

子どもがこうした状態になると、親は「甘えてる?」「怠けてるのでは?」と思うかもしれません。
しかし、こうしたサインは、単なる“甘え”や“わがまま”ではなく、子どもなりにがんばった結果、心の中で「これ以上がんばれないよ」と悲鳴を上げている証拠です。
大人がいち早く気づき、受け止めてあげることが、子どもの「心の安全基地」になります。
なぜ子どもは「五月病」になるのか?
- 過剰な適応努力
子どもは思っている以上に環境に適応しようとがんばります。
「いい子でいよう」
「みんなに嫌われたくない」
「他の人に迷惑をかけたくない」
──そうした思いが心の中にあると、知らず知らずにストレスが蓄積します。
- 自分の気持ちを表現することが苦手
小学生や中学生は、自分の気持ちを言語化するのが難しい年齢です。
悲しさや不安、緊張といった感情をうまく表現できず、代わりに身体症状(お腹が痛い、頭が痛いなど)や無気力という形で表れます。
- 周囲の大人の期待
「ちゃんとやらなきゃ」「いい成績を取らなきゃ」という期待がプレッシャーになることもあります。
真面目で責任感の強い子ほど、この影響を受けやすいです。

親ができる5つのサポート
- 「話す」より「聴く」姿勢を意識
子どもの話は問い詰めるのではなく、まずは受け止めることが大切です。
「学校どうだった?」ではなく「疲れてない?がんばってるね」と共感的な言葉をかけると、子どもも話しやすくなります。
- 小さな変化に気づく
無理に理由を聞くより、「今日は顔色が暗いな」「少し元気がないな」と観察し、さりげなく寄り添うことが大切です。
親が気づいた変化を子どもに伝えることで、子ども自身も自分の状態に気づくことができます。
- 生活リズムを整える
睡眠・食事・運動は心の健康に直結します。
遅寝遅起きや偏った食事が続くと、回復が遅れるため、基本の生活習慣を大切にすることがポイントです。
- 無理に登校を押し付けない
「1日休んで様子を見る」のも十分な対応です。
長引くようであれば、スクールカウンセラーや学校と連携をすることを検討するのもいいかもしれません。
- 「がんばらなくていいよ」のメッセージを伝える
「もっとがんばれ」ではなく「十分がんばってるよ」と伝えることで、子どもは安心し、自己肯定感を回復できます。

五月病が長引き、心身の疲労が蓄積すると、不登校やうつ状態に進展することもあります。
「五月病かな?」と感じたら、早めの対応と心のケアが重要です。
もし家庭や学校のサポートだけでは難しいと感じた場合は、迷わずスクールカウンセラーや医療機関(児童精神科など)に相談してください。
専門的な視点でのサポートを受けることで、子どもも保護者も安心して前に進むことができます。
おわりに
子どもの「五月病」は、けっして特別なことではありません。
新しい環境でがんばったからこそ出てくる自然な反応です。
大切なのは、「気づくこと」「責めないこと」「受け止めること」。
親や先生が、子どもの気持ちにそっと寄り添いながら「安心できる場所」をつくっていくことが、子ども自身の力を引き出すカギになります。
心が疲れたときに、そっと寄り添ってくれる大人がいる──それだけで、子どもはもう一度前を向く力を取り戻していけます。
今回も読んでいただきありがとうございました。
※この記事には一部生成AIの文章が使われています。








