中学校生活は3年間とあっという間です。
中でも、2年生の後半からは進路の話題が学校でも出てくるようになり、ご家庭でもどうしようか頭を悩ませる親も多いと思います。
進路のことだけでも頭を悩ませるのに、そこに子どもが不登校の状態だとなおさら不安も大きくなってしまいます。
そんなご家庭から、
このような相談を受けることがよくあります。
そこで今回は、中学生の不登校の子どもの進路をどのように考えていけばいいのかについてお話ししていきます。
Contents
そもそも不登校の中学生は受験できるの?
中学生の不登校の子どもを持つ親から、時々このような質問をされることがあります。
私から言えることは、
「本人の希望があれば高校は行けます」
ということです。
日本の中学生の高校進学率は、全体で約98〜99%です。
そして文部科学省の統計によると、不登校の生徒でも約9割以上が高校に進学しています。
子ども自身が、高校に行きたいという気持ちさえあれば、不登校の子の高校進学は非現実的なものではありません。
中学生の不登校の子と話をしていても、大半の子が中学校卒業後の進路を「高校進学」と考えていることがほとんどです。
子ども自身の気持ちと現実的に通える高校を見つけられれば、中学生の不登校でも高校進学が可能なのです。

では、具体的な進学先はどのようなものがあるのでしょうか。
中学生の不登校の進学先はどんなところがあるの?
そもそも親が思い浮かべる高校というものは、公立の全日制の高校か私立の全日制の高校が多いのではないでしょうか。
全日制の中で普通科なのか、商業科なのか、などの区分で考えているママがほとんどだと思います。
しかし不登校の子は、上記のような全日制の高校に行く子はあまり多くはありません。
中学生の不登校の子がどのような進路を選ぶのかというと
- 定時制の高校
- 通信制の高校
- サポート校
こういった学校が、今までのケースでもよく選ばれていました。

そのほか、不登校が長期化すると、成績や出席日数が不足し、内申点が低くなることが心配になるご家庭もとても多いです。
しかし、現在は多くの高校が「多様な背景を持つ生徒」を受け入れる体制を整えています。
- 通信制・定時制高校:出席日数よりも本人の意欲や作文内容を重視する傾向
- 私立高校:独自の推薦基準を設けており、面接での印象を重視
- 特色選抜や自己推薦制度:学力以外の活動や考え方を評価
また、一部の公立高校では「不登校経験のある生徒を対象とした特別選抜」や「別枠入試」を設ける地域もあります。
定時制の高校はどんなところ?
定時制高校と聞くと、日中は働いて夜に通うところ、というイメージを持たれている親も多いと思います。
実際には、昼間の時間帯と夜の時間帯で分かれている、2部制の高校が多いです。
最近では、朝の時間帯にも授業枠を設置している3部制の定時制高校も出てきています。
時間帯の選べる幅が増えたことで、子どもたちの状況に応じた時間帯を選びやすくなっています。
私のところに相談に来てくれた子の中にも、定時制の高校を希望している子が何人かいました。
定時制高校に進学した子の中には、高校生活が楽しくて勉強にも意欲的に取り組み、大学の指定校推薦までもらった子もいました。
定時制高校は、基本的には卒業までに4年間の年数がかかりますが、単位制の定時制高校の場合には単位の取得方法によっては3年間での卒業も可能です。

《メリット》
少人数で、年齢も幅広く多様な人が在籍
アルバイトとの両立がしやすい
徐々に社会に慣れていける
《デメリット》
通常より卒業までの年数が長くなることもある
学習意欲の維持が課題になる場合も
通信制の高校はどんなところ?
通信制の高校は、通信教育で高校の学習を進めます。
公立でも私立でも、通信課程を設置している高校があるので、それぞれの特徴に合わせて選んでいただくのがいいと思います。
全日制も定時制もどちらも学年制というシステムで進んでいきいますが、通信制は単位制というシステムで進んでいきます。
- 学年制
1年生、2年生、3年生と、学年に応じた授業を受ける
- 単位制
卒業までに必要な単位の授業を、自分のペースで受ける
単位制の授業の進め方は、大学のように自分で受ける授業を組み立てていくものをイメージしていただくといいと思います。
自分のペースで学習を進めていきたい、という思いがある子どもには向いているかもしれません。
しかし、通信制だからとずっと自宅学習ができるというわけではなく、年に数回スクーリングという形で、授業に参加しなければならないことが多いです。
なので、各学校のスクーリングの要件等も見ていただいて、無理なくできそうなところを選んでいただくのがいいと思います。
入学前は絶対にスクーリングには行けないと言っていた子も、3年間の学校生活を送っていくうちに、学校に行く回数が増えた子もいました。
それ以外にも、自宅で課題に取り組む時間が多くなることから、課題が締め切りまでに終わらずに苦労したという話もよく聞きました。
そうした子どもの困ったをサポートする形で次にお話しするサポート校ができました。

《メリット》
心身の調子に合わせて学習ペースを調整できる
不登校経験のある生徒の受け入れ実績が多い
ネットを使った授業やサポートも充実
《デメリット》
自己管理力が求められる
人との関わりが少なくなりやすい
サポート校ってどんなところ?
サポート校という言葉を聞いたことがある親も多いと思います。
実際にはどのようなところなのかというと、各学校でそれぞれ特色がありますが、通信制高校に通う子どもをサポートするための学校です。
通信制高校に通う子どもをサポートするという目的なので、通信制高校の費用とサポート校の費用が両方かかってしまい、金銭的な負担が大きくなってしまうことが多いです。
しかし、その分子ども一人ひとりを丁寧に見守る体制も整っていて、友達作りなどに不安を抱えている子どもに対しても、親身に対応してくれます。
また、保護者への支援も手厚く、定期的に面談してくれるなど、公立の高校では得られないサポート体制が魅力だと思います。
学校によっては、高校卒業資格が得られるところと、高卒認定試験の受験資格が得られるところという違いがあるので、その点も学校に確認していただくのがいいと思います。

《メリット》
個々の事情に寄り添った支援
少人数で安心して通いやすい
仲間ができやすい
《デメリット》
費用がかかる(年間30〜100万円程度)
教育内容や雰囲気が施設ごとに異なるため、見学が必須
【比較表】不登校からの進路別「高校費用」まとめ
| 高校タイプ | 年間の学費目安 | 入学金 | 特徴・補足 | 想定合計(3年間) |
|---|---|---|---|---|
| 公立・全日制高校 | 約12~15万円(授業料実質無償) | 約5,000円〜1万円 | 授業料は就学支援金でほぼ無料。教科書・制服代・部活動費などで年数万円 | 約40〜50万円 |
| 私立・全日制高校 | 約70〜120万円 | 約10〜25万円 | 授業料+施設費など。就学支援金により実質負担は減るが、差が大きい | 約200〜350万円 |
| 定時制高校(公立) | 約3〜6万円 | 約5,000円 | 授業料は単位制(1単位数百円程度)。教科書・交通費が主な負担 | 約15〜20万円 |
| 通信制高校(公立) | 約3〜6万円 | 約5,000円 | 登校日数が少なく、レポート提出で単位修得。学費は安い | 約15〜20万円 |
| 通信制高校(私立) | 約20〜50万円 | 約1〜5万円 | 通信+面接指導。サポート体制により金額差が大きい | 約70〜150万円 |
| サポート校(通信制付属) | 約40〜100万円 | 約5〜10万円 | 個別サポート・登校支援・進学指導あり。通信制高校の学費に別途加算 | 約150〜300万円 |
| フリースクール | 約30〜100万円 | なし〜数万円 | 登校日数・活動内容で費用差が大きい。給食・教材費別途 | 約100〜250万円 |
費用の見方と注意点
「授業料実質無償化」制度
世帯年収約910万円未満であれば、就学支援金によって授業料は無料になります。 (ただし私立は上限あり)教科書・交通費・昼食代・制服代などは自己負担
年間5〜10万円ほどかかるケースもあります。通信制+サポート校の場合、通信制高校の学費+サポート校の費用の合計が必要になります。
フリースクールは公的補助がないため、費用差が非常に大きく、内容と支援体制を必ず見学して確認するのが大切です。
費用以外で考えたいポイント
| 観点 | 全日制 | 定時制 | 通信制 | サポート校 | フリースクール |
|---|---|---|---|---|---|
| 通いやすさ | △(毎日登校) | ○(時間帯を選べる) | ◎(在宅中心) | ◎(柔軟登校) | ◎(個別対応) |
| 学びの自由度 | △ | ○ | ◎ | ◎ | ◎ |
| 友人関係の広がり | ◎ | ○ | △ | ○ | ○ |
| 教員サポート | ○ | ○ | △ | ◎ | ◎ |
| 費用負担 | ○ | ◎ | ○ | △ | △ |
📘まとめ
- 経済的負担を抑えるなら「公立定時制 or 通信制」
- 安心の支援体制を求めるなら「サポート校 or フリースクール」
- 一般的な高校生活を望むなら「全日制(支援の厚い学校)」
進路選びで大切にしたい3つの視点
① 「再登校」よりも「再出発」
不登校の子どもにとって、「学校に戻る」ことがゴールではありません。
大切なのは、自分のペースで社会とつながり直すことです。
「登校できる=成功」ではなく、「自分に合う環境で力を発揮できるようになる」ことを目標にしていくといいと思います。
② 「学びを止めない」工夫
たとえ学校に行けなくても、学びを完全に止める必要はありません。
- オンライン学習(スタディサプリ・NHK for Schoolなど)
- 家庭教師・フリースクールでの学び直し
- 好きな分野(絵・プログラミング・英語など)を深める
「何を学ぶか」よりも、「自分の興味を中心に学びを続ける姿勢」が、高校や社会への道を開いていきます。
③ 「将来」ではなく「今できる一歩」を
不登校の渦中では、将来のことを考える余裕がない子どもも多いです。
親としては焦らず、「今日できたこと」を一緒に見つけていけるといいと思います。
- 朝起きられた
- 家族と会話できた
- 好きな動画や本で学んだ
こうした小さな積み重ねが、次第に外とのつながりを回復させます。

高校生活の先にある進路にはどんなものがある?
大学進学も可能
通信制や定時制からでも大学進学は十分に可能です。
実際、AO入試や総合型選抜では、不登校経験をプラスに評価する大学も増えています。
「困難を乗り越えた経験」「自分を見つめた時間」は、他の子どもにはない強みです。
就職や専門学校も多様に
高校卒業後に、専門学校や職業訓練校へ進む生徒も多くいます。
また、在学中からアルバイトやボランティアに挑戦することで、社会経験を積みながら自信を回復していくケースもあります。

保護者ができるサポート
① 否定せず、まず「安心」を大切にする
子どもが動けないとき、親が焦って「いつになったら学校行くの?」と責めるのは逆効果です。
まずは、「あなたの気持ちは大事だよ」「焦らなくていい」と伝えていただくのがいいのではないでしょうか。
心理的安全が回復して初めて、「外に出てみよう」という気持ちが生まれます。
② 情報収集を一緒にする
高校や支援機関のパンフレットを一緒に見たり、オープンキャンパスに参加するのも良い方法です。
無理に「行きなさい」ではなく、「どんな学校があるか一緒に見てみよう」というスタンスで誘ってみるとうまく言ったケースが多かったです。
③ 第三者とつながる
学校の先生やカウンセラー以外にも、地域には支援の窓口があります。
- 教育支援センター(適応指導教室)
- 子ども・若者総合支援センター
- フリースクール連盟
- 不登校親の会
「親だけで抱え込まないこと」が、長期的に子どもを支える力になります。

おわりに
今回は、中学生の不登校の子どもの進路についてお話ししていきました。
地域によって学校の充実度などが異なるかと思いますが、おおむね今回お話しした進学先を選ぶ子どもが多いのではないでしょうか。
高校選びで何よりも大事なのは、子ども自身が行きたいと思える高校を選んでいただくことです。
そのためには、大変だとは思いますが、一緒に見学に行っていただいたり、体験授業に参加したりなど、高校生活をイメージできるようなサポートをしていただきたいです。
今回はここまでです。長々と読んでいただきありがとうございました。
また次回も読んでもらえると嬉しいです。
※この記事には一部生成AIの文章が使われています










