普段、スクールカウンセラーとして勤務している中で、

  • 自分の感情を上手に表現することが苦手
  • ママから離れるのが不安で常に一緒にいたい
  • 人と接するのに緊張しすぎてしまう
  • 不登校でほとんど外出できず、人とのかかわりがない

こうした相談を受けた際に、専門機関でのプレイセラピーをおすすめすることがあります。

そこで、今回は言葉ではなく“遊び”を通して気持ちを表現する方法として活用されるプレイセラピーについてお話ししていきます。

そもそもプレイセラピーって何?

プレイセラピーは、子どもの遊びを通して心の内面にアプローチする心理療法です。

大人になると自分の気持ちを言葉で表現することができるようになってきますが、子どものうちは自分の気持ちをうまく言葉で表現することがまだ難しいです。

そのため、「遊び」を通じて子どもの自己表現の場を作る、プレイセラピーが子どものカウンセリング場面では使われることがあります。

特に、言葉での表現力がまだ弱い幼児~小学校低学年の子どもに対して効果的で、遊びを通してさまざまな表現をしてくれます。

小学校中学年~中学生にかけても、遊びと並行しながらお話しをすることもあるので、子どもの状態に応じて取り入れ方が変わってきます。

プレイセラピーでの遊び例
  • ジェンガやボードゲームなどのおもちゃを使った遊び
  • ボール投げや卓球などの体を動かす遊び
  • 人形などを使ったごっこ遊び
  • 色えんぴつやクレヨンを使った絵を描く遊び

この他にも、遊びの中で箱庭を作ってもらったり、描画で心理面を確認したりすることもあります。

こうした遊びを通して、子ども達それぞれの課題に応じたゴールに向けてプレイセラピーは行われていきます。

また、普段の遊びとは異なりルールなどの枠作りをきちんとした上で行われるので、何かしらの目的を持って遊びを進めていくことになります。

プレイセラピーでのルールの例
  • 時間のルール:開始と終了の時間は決め、必ず時間通りに終わります
  • 場所のルール:遊ぶのは決められたプレイルームのみ
  • 安全に関するルール:人を傷付けない・物は壊さない・危険な行為はしない
  • 持ち帰らないルール:その時間に使ったおもちゃや作った作品は持ち帰らない

上記の3つはなんとなくイメージしやすいかもしれませんが、最後の『持ち帰らないルール』はわかりにくいと思います。

私も、以前勤務していた教育相談センターでプレイセラピーをしていた際にも

子どもがプレイセラピーで作った作品を家でも見たいのですが、なんで持って帰っちゃいけないんですか?

こんな風に聞かれることが時折ありました。

プレイセラピーで作った作品は子どもの内面を表現しています。

もしかしたら家族に知られたくないことを表現しているものもあるかもしれません。

『家族に見られるかも』

こうした考えが浮かんでしまうと、本当に表現したいことができない危険性が出てきてしまうため、作った作品はその場でしか利用しないことで、子どもが安心して表現できる場所を守っています。

子どもがプレイセラピーでどんなことをしたか知りたい、という気持ちはよくわかるため、私が担当していた時には子どもの了承を得た上でプレイセラピーの内容をお話していました。

では、プレイセラピーはどこで受けられるのでしょうか。

プレイセラピーが受けられる場所は?

プレイセラピーが受けられる場所は、地域によっても異なりますが

  • 病院やクリニック
  • 地域の教育相談センター
  • 民間のカウンセリング施設
  • 大学院の心理相談室

こうした場所などが考えられます。

病院やクリニック

児童精神科などが設置されている病院やクリニックの中には、プレイセラピーを実施している機関もあります。

医師の診察の元でプレイセラピーが行われるため、子どもの状態をしっかりと把握してもらいやすいのが医療機関でプレイセラピーを受けるメリットだと思います。

病院では保険適用の有無によってプレイセラピーの値段も変わってくるので、その点はご自身でしっかりと確認していただくと安心です。

地域の教育相談センター

自治体によっては、教育相談センターを設置しているところもあるかと思います。

設置状況によってはプレイセラピーを行っていないところもあるかもしれませんが、自治体が設置している機関なので無料でプレイセラピーを受けることができます

しかし、希望通りにプレイセラピーを受けられるかどうかは、教育相談センターごとの基準があるので、気になる方は問い合わせをしてみてください。

いきなり教育相談センターに相談するのは心配・・・

そんな時には、お住まいの地域のスクールカウンセラーに相談してみてもいいかもしれません。

民間のカウンセリング施設

お住まいの地域によっては民間のカウンセリング施設がお近くにある方もいるのではないでしょうか。

民間のカウンセリング施設だと、保険適用外の扱いになるためカウンセリング費用が高額になることもあります。

施設ごとに特色がさまざまで得意としている領域も違うので、今の子どもの状況に応じた施設を選べるのは民間のカウンセリング施設のメリットだと思います。

大学院の心理相談室

臨床心理士や公認心理師の育成を行っている大学院には、学生の実習目的のために心理相談室が併設されています。

プレイセラピーを行うのは大学院生ではありますが、プレイセラピーの前後には指導教官の指導を受けることになっているので、基本に忠実なプレイセラピーを受けられます。

実習機関ということもあり、カウンセリング費用も比較的安価で金銭的な負担は少なめです。

お住まいの地域に大学院の心理相談室がある場合には、選択肢の一つとして考えてみるのもいいのではないでしょうか。

上記のような機関の中から、子どもやご家庭の状況に応じてプレイセラピーを受ける機関を選んでいただくのがいいのではないでしょうか。

 

では、次に私自身が関わったプレイセラピーの例についてお話ししていきます。

プレイセラピーの事例について

私はスクールカウンセラーとして勤務する前は、地域の教育相談センターで教育相談員をしていました。

そこでは、言葉によるカウンセリングだけではなく、子どもにもプレイセラピーを実施している機関でもあったので、その時の事例を簡単にお話しします。

落ち着きがなくて教室にいられず、入学直後から不登校になってしまった小学校低学年のAくん。

Aくんは人とのかかわりも苦手で、攻撃的な面も見られ集団での生活に苦しさを感じている様子も見られました。

プレイセラピーでは、箱庭を中心に遊びを展開していき、時にはママを巻き込んで一緒にボードゲームをすることもありました。

最初のうちは、自分勝手にルールを作ってしまったり、箱庭も広がり過ぎてまとまりが見られなかったりしました。

しかし、プレイセラピーを数か月と続けていくうちに遊びのルールを守るようになり、箱庭の世界も少しずつまとまりを見せるようになってきました。

また、プレイセラピーを重ねていく中で、学校についても触れていき、集団ではない場所ならという本人とママの希望と信頼できる先生との出会いもあり、特別支援学級への転籍を経て学校に戻ることができました。

上記の例のAくんはとてもお話し上手な子でもありましたが、出てくる言葉と実際の行動にギャップがあり、そのギャップに苦しんでいるのだろうなということがうかがえました。

プレイセラピーの中で、さまざまな表現をしていくうちに少しずつ本来の力を発揮できるようになってきた姿がとても印象的な子でした。

スクールカウンセラーになってからも、相談に来てくれた子どもの中でもプレイセラピーの効果が得られると思った時には、地域の教育相談センターにつなぐこともあります。

そうしてプレイセラピーにつながった子も、最初はぎこちなかった遊びが徐々にカウンセラーとの関係ができてくる中で遊びの広がりを見せ、少しずつ自分の気持ちを表現できるようになる姿を何度も見てきました。

すべての子どもに効果がある、というわけではありませんが、子どもの表現を生かす場として活用できるのではないでしょうか。

おわりに

今回は、プレイセラピーについてお話ししていきました。

プレイセラピーは周りから見るとただ遊んでいるだけにしか見えない活動ですが、心理療法として確立されたきちんとしたセラピーです。

カウンセラーがルールなどの枠を作り、子どもの安心と安全を確保した状態で行われる遊びを通して、子ども達はさまざまな変化を見せてくれます。

時には、攻撃的な態度が強く出てしまうこともあるかもしれませんが、それも治療過程の中では必要な時期でもあるのでカウンセラーと連携を図りながら見守っていただきたいです。

もし、自分の子どもにプレイセラピーが向いているのかどうかや、実際に受けられる場所が近くにあるのかどうかなど気になることがありましたら、学校に来ているスクールカウンセラーに相談していただくのがいいと思います。

今回も読んでいただきありがとうございました。