年度の終わりが見えてきたこの時期になると、
- 来年度のクラス編成がどうなるか心配
- 今年度と同じような配慮を来年度もしてもらいたい
- 不登校のまま小学校を卒業して、中学校がどうなるのか不安
のような相談を受ける機会が増えてきます。
学校に協力をお願いしたいけど、どこまでお願いしていいのかわからない、このような悩みを持たれている方も多いのではないでしょうか。
そこで、今回は学校に配慮をお願いしたい時の要望の出し方についてお話ししていきます。
Contents
学校への要望の出し方
学校に要望を出す際に気を付けてほしいのは、
- 担任
- 学年主任
- 校長などの管理職
この優先順位で話をするということです。
いきなり担任の先生を飛び越えて校長先生に話に行くのはおすすめしません。
きちんとした手順を踏んで相談に行っていただくことで、話がスムーズに運べるのでその点は気を付けていただきたいです。
相談の方法としては、
- 連絡帳で伝える
- 電話で伝える
- アポを取って直接伝える
この3つが主な方法です。
①、②の方法は軽い相談であれば手軽にできるのでおすすめです。
しかし、クラス編成のことや配慮をお願いするなどのような具体的な内容を伝えた方がいいものに関しては、できる限りアポを取って直接先生と話していただいた方が効果的です。

では、具体的にどのように要望を伝えていけばいいのでしょうか。
要望って具体的にどう出せばいいの?
一番最初に出した3つの例を使って具体的な伝え方をお話ししていきます。
来年度のクラス編成について
クラス編成の要望が、数ある要望の中でも一番多いかもしれません。
- 引っ込み思案なので仲良しの子が一人でもいてほしい
- よくトラブルになってしまう相手がいるので、クラスを離してほしい
- 保護者間でトラブルになったことがあるので、クラスを離してほしい
このような思いでクラス編成の要望につながるパターンがよく見られます。
基本的には、上記のようなことをそのまま伝えていただいて大丈夫です
しかし、トラブルが原因でクラスを離してほしいという要望を伝える際には、相手が嫌だから離してほしい、というような伝え方ではなく、トラブルが続くとお互いのためによくないからというような形で伝えていただくと否定的に取られなくていいと思います。
また、要望を伝えた際に担任の先生の意見も聞いておくと安心です。
学校での子どもの姿は、家庭で見せる子どもの姿と違うことも多いので、先生の意見は非常に参考になります。
こうしてお互いの考えを共有していく中で、よりよい選択肢が見つかっていくかもしれません。

子ども自身が、自分がどんなことに不安を感じているか言葉にするのが難しいこともよくあります。
そんな時には、
この本を使って、子どもの不安な気持ちを整理するのもおすすめです。
気持ちを点数化したり、不安を軽減させる方法を考えたりと子ども自身のスキルを伸ばしていくことにもつながっていきます。
来年度の配慮について
発達障害などの特性がある子どもの場合には、配慮についての要望を出すことがあります。
通級などに通っていれば個別支援計画が作成されていて、その計画に沿った配慮が得られます。
しかし、通級などに通っていないけれどなんらかの配慮があると安心、といった場合もあります。
たとえば、
- 一斉指示の後に、個別で声かけをしてほしい
- 板書を書くのがゆっくりで追いつかないので、板書を写真に撮りたい
- 作品などを作る時にお手本をできれば用意してほしい
このような配慮が考えられます。
また、「去年の先生はいろいろと配慮してくれたのに、今年の先生はほとんど配慮してくれない」といった言葉もよく聞きます。
先生それぞれに配慮の質が異なってしまうのはどうしても出てきてしまうため、今年度の担任の先生とどこまでの配慮だったら先生が無理なくできそうか、ということを相談していただくとこうしたギャップが少なくなるかもしれません。

先生方も困っている子どもに対して支援をしていきたい気持ちをたくさん持っています。
しかし、どのような支援が必要なのかがわからなくて戸惑っているケースも数多かったです。
そこで、
こうした本を活用して、どのような困りごとにどのような支援が考えられるのかを確認してみるのもおすすめです。
実際にできるかどうかは学校の環境によっても変わってきますが、 選択肢があるかないかで話の進めやすさも変わっていきます。
不登校の中学校進学について
小学校6年生の段階で不登校だと、その後の中学校生活に不安を感じるのは当たり前の感覚です。
できれば進学先の中学校に事前に相談に行っていただくのが安心ですが、いきなり中学校に連絡を入れるのはハードルが高いと思います。
なのでスムーズに相談につながる方法としては、小学校の校長先生を通じて中学校の校長先生に相談希望の連絡を入れてもらう、という方法です。
そうして中学校との相談につながった際には、
- 中学校の不登校支援
- 適応指導教室やフリースクールなどの情報
- 不登校になった際の学校との連絡のやり取りの方法
このようなことを確認していただくのがいいと思います。
特に、これから通うことになるであろう中学校の不登校支援の情報を確認しておけると、心構えなどの事前準備もできます。
もしも中学校の不登校支援があまり期待できないとなった場合には、適応指導教室やフリースクールなどの居場所となるような支援先の情報も併せて集めておくとより安心です。
要望はあくまで学校への協力を依頼するもの
確実に叶うものではないので、その点は念頭に置いておく!
新年度に向けてどんな不安が多いのか、学校への要望への出し方と合わせてまとめてあります。
新年度など環境の変わり目は不安が大きくなるものです。子どもの不安が大きくなった時にご家庭でできることについてまとめてみました。
学校に配慮をお願いするときにはどうやって伝えたらいいの?
こんな風にお悩みの方も多いのではないでしょうか。
支援をお願いする際に、
- 子どもがどんな場面で困りやすいか
- これまでにどこか相談などでつなかってきた機関はあるか
- 今までどんな支援を受けてきたか
- どういった支援があると子どもは安心できるか
こうしたポイントを意識して伝えていただけるといいと思います。
最近では就学前に療育機関で支援を受けてきた子どもも増えてきているため、療育機関での支援記録なども資料として活用できます。
「言葉だけで説明すると伝え漏れがあるかもしれないと不安に感じる・・・」
という方は、上記のポイントを踏まえてA4で1〜2枚程度にまとめた資料を作成していただくのもおすすめです。
どうかいたらいいのか悩むときには、スクールカウンセラーや療育機関等の支援員などと相談して一緒に作成してみてください。

過去のエピソード
実際に、私が相談を受けたケースでいくつかのエピソードを混ぜたものを紹介します。
《どんな時に子どもが困るか》
- 好き嫌いも多く、食べられる量も少ないため給食の時間が不安
- 新しい環境に馴染むまでに時間がかかり、行事などの特別な活動に参加するのも不安が大きい
- 失敗したくない気持ちが強く、行動を起こすのに時間がかかるので周囲のペースについていけないかもしれない
《これまでにつながってきた相談機関等》
- 地域の療育センターで週に1度の通所支援
- 地域の幼稚園で集団生活
《今までに受けてきた支援内容》
- 通所支援では行動の見通しを持てるよう、絵カードや写真を用いたスケジュール表を活用
- 行事の際には事前にスケジュールを教えてもらい、前年度の様子などを写真等で一緒に確認
- 幼稚園では、加配の先生が一人ついてくれて必要に応じて声かけ等の支援を行っていた
- 給食の量を減らしてもらったり、食べる場所を先生の近くにしてもらったりなどしながら徐々に食べられる量や種類を増やしてきた
《学校に求める支援》
- 給食の時間の不安が大きいため、量の調整や残しても大丈夫という声かけをしてもらえると安心できる
- 一週間の予定がわかっていると見通しが立てやすくなるため、次の週の予定を金曜日にしらせてもらいたい
- 周囲の様子を確認してから行動することが多いため、他の子に比べると行動が出遅れやすくなるため時々声かけをしてもらうと子どもも安心できる
- 失敗に対する不安感も強いので、失敗しても大丈夫という声かけをしてもらえると嬉しい
こうした形で一緒に要望についてまとめたこともあります。

これはあくまで一例なので、子どもの状態によっても内容は変わってきます。
この本は、「学校とどうかかわっていけばいいのか」というお悩みについてわかりやすい言葉でまとめられていて読みやすくておすすめです。
スマホで見れるあるあるシチュエーション対応例は、つい「あるある」と言葉にしたくなるぐらいあるあるな内容なのでぜひ参考にしてみてください。
おわりに
今回は、新年度に向けての学校への要望の出し方についてお話ししていきました。
最後のポイントでも書きましたが、こうした要望を伝えたからといって必ずしも要望通りに叶うというわけではありません。
しかし、伝えないよりははるかに可能性が高くなるので、少しでも心配なことがあるようでしたら相談にいっていただくことをおすすめします。
もしも、こうした要望を学校に出していいのか心配、といったお悩みがありましたら地域のスクールカウンセラーや教育相談センター等に確認していただくと安心だと思います。
今回も読んでいただきありがとうございました。









