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子育て

子どもの学びを考える就学相談って一体どんなことをするの?

6月に入り、子どもが通っている幼稚園や保育園で「就学相談」と書かれているポスターやチラシなどを目にしたことのあるママもいると思います

就学相談というぐらいなので、小学校入学前に何か相談するのかな。

こんな風に考えるママが多いのではないでしょうか。

特に、子どもに特性がある場合にはこうした不安は大きいです。

  • 障害があったら特別支援学校に入れないといけないの?
  • そもそも、どこに相談に行けばいいの?
  • 子どもに障害があるときは、入る学校を選べるの?

このような疑問や不安が次から次に頭に浮かんでくる、という話を聞くこともとても多いです。

なので、今回は障害や発達の気になる子どもが小学校入学前に受ける「就学相談」についてお話ししていきたいと思います。

そもそも「就学相談」ってどんなもの?

一般的な小学校入学の流れは、お住まいの地域に応じて学区が決まり、自治体からの案内を受けて学区の学校に入学するというものになります。

しかし、障害や発達の気になる子どもは、適切な環境設定が子どもの成長にとって重要になるので、事前に「就学相談」というものを受けていただくことがあります。

就学相談とは

子どものよりよい成長を得られる場所はどこか、という視点で子どもや保護者、教育委員会などが話し合い、就学先を決めていく一連の流れ

お住まいの地域によっては就学相談とは違う名称かもしれないので、「○○市 就学相談」「○○区 教育相談」という感じで検索してみてください。

では、実際に就学相談を受けたいとなった場合、どのように申し込みをしたらいいのでしょうか。

どうやったら就学相談を受けられるの?

お住いの地域によって違いがあるかもしれませんが、基本的には

  1. 幼稚園・保育園から申し込む
  2. 自分で教育委員会に問い合わせをして申し込む

この2つに分けられます。

申し込みの過程の中で、学区の学校に事前連絡をしてからの申し込みが必要な場合もあるので、その点は確認していただくといいと思います。

①も②もママから、幼稚園・保育園の先生や教育委員会に問い合わせをしていただく必要があります。

場合によっては、幼稚園や保育園の先生から勧められたり、通っている療育機関等から案内されたりすることもあるかもしれません。

では、実際の就学相談はどのように行われるのでしょうか。

就学相談ではどんな風に相談を進めていくの?

実際に、就学相談ではどのようなことをするのか気になるママもいるかと思います。

子どもの中には、痛い注射を打たれるのではないかとドキドキしながら来る子もいます。

地域によって異なるかもしれませんが、以前私が勤務していた教育相談センターでは、

  1. 保護者との面談
  2. 子どもの様子を観察
  3. ①・②を踏まえた保護者との面談

 

この流れで行っていました。

①保護者との面談

ここでは、普段の子どもの様子や就学先の希望等について確認します。

事前に学区の学校や、希望する就学先を見学しておくとスムーズにお話しできます。

学区の学校ではない学校に就学したい場合は、学区の学校と希望する就学先の学校の校長先生に事前にお話をしていただいて、受け入れてもらえるか確認していただく必要があります。

また、就学に向けての不安についても、ここでお話ししてもらいます。

  1. 就学先の希望を事前に考える
  2. 受け入れ先の学校長の許可が得られるか確認する
  3. 学校生活で不安に思うことはどんなことか具体的にする

②子どもの様子を確認

ここでは、子どもだけで相談室に入ってもらい、その時の子どもと先生とのやり取りを観察していきます。

子どもが自由に遊んでいる場面だけではなく、疑似的な教室を用意して学校ごっこをしている様子を観察し、入学後のイメージを具体的に描いて判定につなげられるようにします。

観察だけでなく、発達検査の数値等も参考にするため、事前に発達検査を受けていなければ検査を実施します。

特性のある子どもの場合、新しい場所が苦手なことが多いため、様子を観察する日と検査をする日を分けて実施することもあります。

発達検査は、

  • 田中ビネー知能検査
  • WISC-IV or WISC-V

この2つが用いられることが多いですが、WPPSIという幼児用の知能検査の結果を提出する人もいるため、お住まいの自治体にどんな検査の結果が必要かを確認しておくと安心です。

③①・②を踏まえた保護者との面談

就学先の希望等や子どもの様子を踏まえた、就学先の判定のための面談です。

もしかしたら、ご家庭の希望と異なる判定が出るかもしれませんが、あくまで「判定」であるという風に受け止めていただくといいと思います。

「一度判定を受けると、その通りに就学しなければならないの?」

こんな風に心配になるママもいるかもしれません。

しかし、就学相談はあくまで子どもに適切な教育の場を判定する機関で、最終的な就学先の決定権はご家庭にあります。

なので、「特別支援学校」や「特別支援学級」などの判定を受けていても、ご家庭の希望があれば通常学級への就学は可能になります。

就学相談でできるのは、どんなところが子どもに合っているかの「判定」のみ、最終的な「決定」はご家庭で!

では、判定で出てくる学校にはどんな種類があるのでしょうか。

そもそも、行ける学校の種類ってどんなものがあるの?

小学校の種類は大きく分けて

  1. 一般の小学校
  2. 特別支援学校

この2つに分かれます。

その中で、①の一般の小学校の中から

1)通常学級

2)特別支援学級

3)通常学級+通級指導教室

こうした形に細分化されていきます。

①一般の学校

これは、いわゆる学区にある学校のことを言います。

学区の学校の中で、どの学級に在籍するかによってさまざまなパターンがあります。

1)通常学級

通常学級は、

  • 1年生:35人学級
  • 2年生以降:40人学級(順次、35人学級に移行)

こうした子どもの人数で運営されている学級です。

クラスの中で教科の授業を受けて過ごす、ママ達がイメージする「学校」の形が通常学級だと思います。

「全体」での指導が中心なので、「個」の対応が行き届きにくい面もありますが、集団生活の中で社会性を身に付けていくのにはうってつけです。

2)特別支援学級

特別支援学級は、

  • 知的障害学級
  • 情緒障害学級

この2つの教室に分かれて構成されています。

1クラス8人学級の異学年で構成されていて、保護者と先生とで相談していきながら個別の教育支援計画を作成していきます。

そうした個別の教育支援計画を作成することによって、子どもの状況に応じた教育を行ってくれる学級でもあります。

特別支援学級に在籍していても、同じ学年の通常学級を交流学級と設定して、給食や特定の授業に参加させてもらうことも可能です。

通常学級と異なる点は、教科の学習だけではなく、自立の基礎作りを目的とした生活単元を学んでいくところかもしれません。

3)通常学級+通級指導教室

在籍は通常学級になりますが、子どもの状況に応じて

  • 言語通級:吃音・書字等の支援
  • 情緒通級:感情コントロール等の支援

こうした支援を通級指導教室で受けます。

地域によっては、学区の学校内に通級指導教室がない場合があるので、そうした時には通級での指導に合わせて通級のある学校への送迎が必要になります。

通級での指導には、毎回保護者の方にも参加してもらい、先生と一緒に子どもの対応について考えていきます。

また、通常学級の先生と通級指導教室の先生とで情報共有をして、通常学級でもできる取り組みをしてもらうこともできます。

②特別支援学校

特別支援学校は、1クラス6人学級の少人数の学級運営をしている学校です。

  • 肢体不自由
  • 視覚障害
  • 聴覚障害
  • 知的障害
  • 病弱

こうした障害種別に分かれていて、子どもの障害の状況に応じています。

一般の学校とは異なる、特別支援学校の学習指導要領を基にした指導がなされています。

学習も行われますが、生活自立に向けた支援が主な授業内容になっています。

特別支援学校でも、一般の学校との交流を設けているところもあるので、行事などのタイミングで一般の学校の子とも触れ合う機会があります。

おわりに

今回は、障害や発達の気になる子どもの就学について相談する、就学相談についてお話ししていきました。

私は、スクールカウンセラーとして勤務する前は教育相談センターで就学相談に携わっていたこともあり、今回はその時のことを思い出しながらまとめてみました。

どのご家庭もさまざまな思いを抱えながら就学先を決めていきます。

その時の決定がいいものになるかどうかは、実際に通ってみないとわからないかもしれません。

それでも、決定の段階で「これでよかった」という気持ちで選んでもらいたい、という願いが私にはあります。

今回も読んでいただきありがとうございました。