前回は不登校の相談の中でよくある質問について答えてきました。
最近では、さまざまな媒体で発達障害が取り上げられていることもあり、相談に来てくれる人たちの知識もとても豊富になっています。
知識が増えれば増えるほど、不安が増してしまったという親も少なくありません。
こんな風に話してくれた人もいました。
そこで今回は予告していた通り、子どもの発達に関するよくある質問について答えていきたいと思います。
Contents
子どもの発達でよくある質問
スクールカウンセラーの相談の中でも、不登校の相談と同じぐらい多いのが子どもの発達に関する相談です。
子どもの発達に関する相談はさまざまなものがありますが、よくある質問として
- 落ち着きがないからADHDじゃないか
- 字の読み書きが苦手だからLDかもしれない
- 医師から薬を処方されたけど、飲ませてもいいのか心配
- 子どもの発達を診てもらいたいけど、どんな病院に行けばいいのかわからない
- 学校の中ではどんな配慮がしてもらえるのか
このような質問が出てきます。
①落ち着きがなく、ADHDかもしれない
- 授業中に歩き回る
- 忘れ物が多い
- 好き勝手におしゃべりする
- 友達に対してすぐにちょっかいをかける
こんな姿が学校生活の中で見られ、先生から話をされたという親もいるのではないでしょうか。
「うちの子ってADHDですか?」
相談の中でこんな風に質問されることも少なくありません。
スクールカウンセラーは医師ではないため、診断はできません。
ですが、子どもがどんな時に落ち着きがなくなってしまうのかを分析し、どう対応すればいいのかを考えるお手伝いはできます。

必要に応じて医療機関の情報提供を行うことはありますが、すぐに受診をすすめることはほとんどありません。
家庭や学校で対応の仕方を工夫してみて、子どもの状態に改善が見られなかった時に医療の受診を勧めていきます。
詳しくは、
に書いてあるので、こちらの記事も読んでみてください。
②字の読み書きができないのはLDなの?
こうした相談は特に小学校低学年の子どもの親から出てきます。
幼稚園や保育園では特に行動に問題はなく、小学校に入って本格的に文字の勉強を始めて気づくのがLDの特徴です。
- 字が鏡文字になってしまう
- ひらがながなかなか覚えられない
- 誤字脱字が多い
- 聞いた言葉を文字にするときに間違えてしまう
こうした子どもたちの姿を見て、「もしかして・・・」と感じる親が多かったです。

LDにもいろいろなパターンがあり、音と言葉をつなぐ力が弱いのか視覚的に形をとらえるのが苦手なのかなどによっても対応の仕方は変わってきます。
最近では、タブレットなどのICT機器を活用した支援もできるので、学校での取り組みの状況を踏まえて対策ができます。
詳しくは、
でも書いてあるのでこちらの記事も読んでみてください。
③子どもに薬を飲ませてもいいのか
こうした声が病院を受診した後の親からよく出てきます。
風邪薬や頭痛薬と違い、気持ちに作用する薬はいつまで飲み続ければいいのか先が見えず不安になってしまうのは自然な感情です。
薬を処方されるのは、衝動性が強い子や癇癪の激しい子、不安の強い子などが多かったです。
中学生ぐらいになると、起立性調節障害を抱えて睡眠や血圧をコントロールする薬が処方されることもあります。

まず大事なことは
- なんのために薬が処方されたのか
- 薬を飲むことで子どもにどんな影響があるのか
- どのぐらいの期間飲むことになりそうか
こうしたことを知ることです。
私自身、これまでの相談の中で薬を飲むよう勧めたケースも少なくありません。
衝動性に作用する薬などは、一生飲み続けるというわけではなく、ある程度の年齢で衝動性を抑制できるようになれば飲まなくなることもあります。
実際に薬を飲んでみた子ども達からも、
「今までは頭の中にいろんなものがごちゃごちゃに入ってきたけど、今は必要なものに集中できるようになってすっきりした」
こんな風に話を聞きます。

もちろん、薬なので人によって合う合わないはありますし、副作用の問題もあります。
子どもが今困っていることに対して、薬はどれぐらい効果的かを納得いくまで考えていくことが大切です。
ご家庭だけで判断に迷う時には、ぜひお近くのスクールカウンセラーに相談してみてください。
薬の種類によってどんな効果があるのかを一緒に考えるお手伝いをします。
④子どもの発達はどこの病院で診てもらえばいいの?
発達に関する相談を続けていくうちに、こうしたことを聞かれることが増えてきます。
スクールカウンセラーは基本的には、おすすめの病院という形で紹介することはありません。
できることは、周辺の医療機関の情報提供をしていく中で、それぞれの病院の特徴も伝えて親に選んでもらうことです。
- ○○病院は女性医師がいて、女の子の悩みに詳しいです
- △△病院はゲーム依存などを専門的に扱っています
- □□病院は成人まで診てくれるので、継続して受診できます
こうした形で周辺の医療機関の情報提供を行っています。
時には、他の相談者から聞いた情報などを交えて伝えることもあり、口コミの大切さを実感しています。

子どもの発達を診てくれる病院は限られていて、どこの病院も数か月単位で予約まで時間がかかります。
なので、相談に来てくれた人には
「とりあえず予約を入れてみて、様子が変わったらキャンセルしてみてもいいかも」
といった感じでお話しすることも多いです。
一般的な病院と違い、受診したいと思ってもすぐに受診できる場所ではないので、とりあえず予約という選択肢を選んでもらうことが出てきやすいです。
この記事では、子どもを病院に連れていくタイミングなどについてもまとめてみたので、参考にしてみてください。
⑤学校の中で得られる配慮は何がある?
こうした声は実際に発達障害の診断を受けた子どもに限らず、学校生活に困っている子どもの親からも出てきます。
学校で得られる配慮にはさまざまなものがあります。
- 授業中の配慮
- 休み時間の配慮
- 行事での配慮
こうした場面によってもできる配慮が変わってきます。
また、学校の受け入れ態勢によっても変わってくるので、
「隣の学校ではやっているけど、うちの学校ではやってくれない」
といったこともよくあります。

- LDの子どもに対して、ICT機器を活用する
- 感情のコントロールが苦手な子に対して、クールダウンスペースを用意する
- 休み時間に友達とうまくかかわれない子に対して、クラス遊びの時間を増やす
- 行事への参加の仕方を個別に考える
私がこれまで対応してきたケースでは、こうした配慮をしてもらったことがありました。
あくまで一例でこれがすべてではありません。
学校によっても受け入れの反応が違ったので、子どもが通っている学校にどんな配慮があるのかをスクールカウンセラーに聞いてみるのもいいと思います。
配慮はやってもらって当たり前のものばかりではないので、その点は念頭に置いておく必要があります。
この記事では、より詳細に学校で得られる配慮について書いてあるので、よかったら参考にしてみてください。
おわりに
今回は、スクールカウンセラーの相談の中でよくある子どもの発達に関するお悩みについてお話させていただきました。
さまざまな発達に関する知識に触れる機会も多い世の中で、不安を感じている親が増えてきたように感じます。
最近では、医療機関の受診も以前より抵抗感が少なくなっているように思いますが、それでもまだまだハードルの高いものだと思います。
体調が悪いときに病院を受診するように、心の調子が悪いときも病院を受診することが一般的になってくれたらいいなと感じています。
今回の記事を読んで、少しでも相談の場につながるきっかけとなったら嬉しいです。
今回も読んでいただきありがとうございました。














