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現役スクールカウンセラーの子育て応援ブログ
発達障害とその支援

【スクールカウンセラーが解説】SST(ソーシャルスキルトレーニング)とは?|子どもの社会性を育てる支援法

  • 「うちの子、友達との関わりが苦手みたい」
  • 「先生から周りの空気が読めないって言われてしまった」

こうした相談が、個人面談の後には増えてきます。

子どもが対人関係に困っている時に役立つのが、SST(ソーシャルスキルトレーニング)と呼ばれるトレーニングです。

そこで今回は、SSTの基本から具体的な進め方、家庭や学校での活用法まで、実例を交えてお話していきます。

そもそもSST(ソーシャルスキルトレーニング)って何?

SSTとは「Social Skills Training」の略で、人との関わり方(社会的スキル)を練習するための支援法です。

発達障害やグレーゾーンの子どもたちに限らず、

  • 友達との距離感がうまくとれない
  • 自己主張が強すぎる/弱すぎる
  • 友達とトラブルになりやすい
  • 集団活動が苦手

こうした、社会性の面で困り感を抱える子にとって、SSTは大きな助けになります。

社会性ってどういうこと?

SSTで育てる「社会性」は、人と関わる上での「行動」「考え方」「感情のコントロール」などを含みます。

たとえば・・・
  • あいさつをする
  • 順番を待つ
  • 相手の気持ちを考える
  • 適切にお願いする/断る
  • トラブルになった時に落ち着いて対応する
  • 断られても気持ちを切り替える
  • 話を最後まで聞く

これらのスキルは「見て学ぶ」ことが難しい子どもにとって、具体的な言葉がけや練習の場が必要不可欠です。

SSTでは、具体的な場面を想定してロールプレイすることによって、子ども達の社会的スキル向上を目指す

 

SSTが役立つ子どもの特徴

SSTが役立つ子どもの特徴
  • 空気が読めない、言ってはいけないことを言ってしまう
  • 友達の輪に入れない、話しかけ方がわからない
  • 注意されるとすぐ怒る、泣いてしまう
  • 話が一方的で相手の話を聞けない
  • 遊び方が乱暴でトラブルになる
  • 気になることがあると切り替えができない

こうした傾向の背景には、発達特性(ASD、ADHD、LDなど)がある場合も多いです。

しかし、「やり方を知らないだけ」であることも多く、教えてもらえばできるようになるケースは多くあります。

SSTの基本ステップ

SSTの基本ステップ
  1. 課題の明確化
  2. 見本の提示
  3. 練習(ロールプレイ)
  4. 振り返り

①課題の明確化

最初に、どんな場面でどんな行動に困っているのかを具体的に整理します。

たとえば・・・
  • 「朝の会で人の話をさえぎってしまう」
  • 「遊びの誘い方がわからず、無言で立ち尽くす」

担任や保護者と協力して、対象行動とその場面を共有することが大切です。

②見本の提示

SSTでは子どもに理想的な行動を、実際に見せて伝えます。

  • 教員や支援員がロールプレイする
  • 絵カードや写真で「良い例・悪い例」を視覚化する
  • アニメや動画教材を使って見せる

具体的な場面を見せることによって、子どもは「どんな行動が望ましいのか」を具体的に理解できます。

③練習(ロールプレイ)

実際にその場面を想定して、子ども自身が練習することで生活にも生かせるようにする。

  • 声の大きさ、話すタイミング、表情なども確認しながら丁寧に練習する
  • 「ちょっと恥ずかしい」「うまく言えない」と感じる子には、ぬいぐるみや人形を使って間接的に体験させるのも有効

繰り返し練習することで、実際の場面でも活用しやすくなります。

④振り返り

②と③を実施後、子どもと一緒に振り返りをすることで、より子どもにとって実践しやすいものへと変わっていきます。

振り返りのポイント
  • できたことを一緒に喜ぶ
  • 改善点を優しくフィードバック
  • 実生活で実践できたかを確認し、次回の目標につなげる

グループでのSST

SSTは個人でもできますが、同じような課題を抱えている子とグループでやることでより実践的な内容になります。

活動例
  • 「感情スゴロク」:感情カードを使って、いろいろな気持ちを表現する練習
  • 「ひとことチャレンジ」:お礼、お願い、断り方などを1フレーズで伝える練習
  • 「会話リレー」:相手の話を受けて返す会話のキャッチボールを練習
  • 「ポジティブワード集め」:友達に言われてうれしい言葉を集めてみる

たとえばこんな感じで複数回に渡ってグループでのSSTを行うことがあります。

  • 第1回:アイスブレイク・自己紹介
  • 第2回:あいさつや順番を守る
  • 第3回:お願いのしかた・断り方
  • 第4回:トラブル対応・怒りのコントロール
  • 第5回:振り返りと自分の変化に気づく

同じような課題を抱えた子どもがグループを組むので、参加した子ども同士の相互作用も、社会性の発達に大きな影響を与えます。

SSTを家庭で活かすには?

具体例で伝える

  • 「丁寧に言ってね」→「“貸してくれる?”って言ってみようね」
  • 「友達に優しくして」→「“ありがとう”って言ってごらん」

できたらすぐ褒める

  • 「さっき順番待てたね!」など、行動の直後に具体的に褒めると効果的

遊びや絵本を活用する

  • 絵本やアニメを通して協力・順番・思いやりを学ぶきっかけを作る
  • ごっこ遊びで「どうする?」と一緒に考える時間を作る

家族でロールプレイ

  • 「もし友達に“ダメ!”って言われたら?」などを家庭内で再現して練習する
保護者が気をつけたいポイント
  • 叱るより「教える」を意識する
  • 「できない」の裏にある不安や混乱を見つける
  • 家と学校で言い方やルールがバラバラだと、子どもが混乱するので周囲の大人が同じ対応で支える

SSTが受けられる場所はどこ?

  • 学校の通級指導教室、特別支援学級
  • スクールカウンセラーや学校心理士
  • 児童発達支援センター、放課後等デイサービス
  • 小児精神科や心理カウンセリングルーム

必要に応じて医療機関や福祉機関と連携しながら、継続的な支援を受けることも可能です。

SSTが受けられる場所を探したけど、よくわからなかったという場合には、お近くのスクールカウンセラーに相談してみてください。

SSTに使える教材・ツール紹介

SSTを効果的に行うためには、子どもが視覚的に理解できたり、楽しみながら学べたりする教材があると役立ちます。

ご家庭でも活用できるものなので、ぜひ参考にしてみてください。

絵カード・イラスト教材

コミュニケーションカード


日常生活のさまざまな場面に対応した行動カードです。

会話のきっかけや、適切な行動を視覚的に伝えるのにとても便利でおすすめです。

感情カード(エモーショナルカード)


SSTを必要とする子は、気持ちを言葉で表すことが苦手な子がとても多いです。

怒っている顔、悲しい顔、うれしい顔などを見せながら感情の言語化を支援することで、感情の言語化の手助けとなります。

ワークブック


 

 発達障害の子どもを持つ親に最適な入門書としておすすめできる1冊です。

学校やご家庭で実践できるトレーニングのコツをわかりやすくまとめてあるので、気になる方はお手に取ってみてください。


 

 小学生だけではなく、意外と中学生や高校生もSSTを必要とする場面があります。

コピーして活用できるので、何度も繰り返し練習するのにもおすすめです。

おわりに

SSTは、「人と関わるのが苦手」という子どもが、自信を持って社会で過ごせるようになるための大切な支援です。

困っている子どもに「努力が足りない」と責めるのではなく、

「やり方を一緒に練習しよう」

という姿勢で関わることが、成長への近道になります。

社会性は、一人で自然に身につくものではありません。

だからこそ、周囲の大人が教え、支え、認めていくプロセスが必要です。

子どもの「できた!」を育てるSSTを家庭でも、学校でも、少しずつ取り入れてみてください。

今回も読んでいただきありがとうございました。

 

※この記事には一部生成AIの文章が使われています。