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現役スクールカウンセラーの子育て応援ブログ
子どもの心と行動のサポート

学校でのトラブルをどう解決する?モンスターペアレントにならないための心構え

子ども達が学校生活を送るうえで、切っても切り離せないことが学校内で起こるトラブルです。

大小の程度の差はありますが、学校生活でまったくトラブルに遭わずに過ごすことはできません。

「子どもが学校でトラブルに遭ってしまった際に、どんな風に対応すればいいでしょうか?」

こんな相談は、毎年と言っていいほど必ず受けます。

そこで今回は、子どもが学校でのトラブルに遭った際にどう解決していけばいいのか、についてお話していきます。

学校ではどんなトラブルが多い?

学校では、日々さまざまなトラブルが発生します。

相談の中で、よく出てくるものとしては

  • 子ども同士のトラブル
  • 先生への指導の不満
  • 特性のある子どもへの配慮の内容

こうしたものがあります。

どれもよくあるトラブルではありますが、学校と家庭とで認識のズレなど生じると途端に手に負えない状況に陥ってしまう危険性が高いです。

たとえば、子ども同士のトラブルは加害者と被害者が複雑に絡み合い、どちらか一方が悪いとは言えないケースがよくあります。

しかしこうしたトラブルの際に、自分の子どもの被害の部分にしか目を向けず、加害の部分は一切なかったことにしてしまう親がいると、トラブルの解決は非常に難しくなります。

先生の指導や特性のある子どもへの配慮の内容も、最初のうちはまともだったものが次第にヒートアップして過剰な要求につながった、というケースも少なくありませんでした。

今までにあったモンスターペアレントの事例

今までさまざまな学校に勤務してきて、必ずと言っていいほどどの学校でもいわゆるモンスターペアレントと呼ばれる親がいました。

私がこれまでに見てきたモンスターペアレントは、

  • 過剰な配慮の要求
  • 攻撃的な口調や態度
  • ママ友にクレームを広げる

こうしたケースがありました。

過剰な配慮の要求

これは、特性のある子どもを持つ親が陥りやすいケースです。

合理的配慮が学校に求められるようになったこともあり、一定程度の配慮を要求することは間違ったことではありません。

しかし、学校の実情を考えずに、

  • 「子どもがわからなくて困っていたら、わかるまで横にいて教えてほしい」
  • 「自分から友達を作ることができないので、友達ができるまで手助けしてほしい」
  • 「学校によく忘れ物をしてくるので、全部持って帰ってきているか毎日チェックしてほしい」

こうした要求をし続けてしまうのは、学校からするとモンスターペアレントだと感じてしまいます。

よく相談の中でも、

近隣の学校では○○してくれたのに、なんでこの学校ではやってくれないんですか?

こうしたお話を聞くことがありますが、学校によって規模もシステムも違うため、すべての学校で一律の対応をすることは難しいと理解していただきたいです。

攻撃的な口調や態度

学校にかかってきた電話を取って第一声が怒鳴り声だった、というケースは意外と少なくありません。

いくら話の内容が正しくても、怒鳴り声で言われると先生も素直に受け取れません。

子どもがいじめられて泣いて帰ってきた。

そんなトラブルがあって動揺してしまう気持ちは自然なことですが、その気持ちのままに電話をしてもいいことはありません。

不安な気持ちから怒鳴ってしまったと理解できても、怒鳴られたショックは消せないので、学校に連絡する際にはまず気持ちを落ち着けることが大切です。

ママ友にクレームを広げる

保護者同士の噂話で、先生に対する印象について聞いたことがある人もいるのではないでしょうか。

交友関係の広い親やきょうだいの多い親は、学校についての情報をたくさん持っているため、味方だととても心強い存在です。

しかし、トラブルがあった時にトラブルの内容や学校の対応の不満を周囲に言いふらし、学校との関係が悪化してしまうことがあります。

私がこれまで経験したケースでも、幼稚園や保育園でのママのつながりが小学校入学後も続き、そのつながりの中でそれぞれの担任に対する不平不満が広がって、担任が休職に追いやられてしまったことがありました。

何かトラブルに見舞われた際には、愚痴を言いたくなるのはとても自然な感情です。

ただ、その愚痴が過剰なものになってくると学校との関係に亀裂が生じるかもしれないということを念頭に置いてほしいです。

子どもへの影響はある?

適切な配慮の要求は、子どもにとって大きな安心感につながります。

しかし、要求が過剰になってくることによって、子どもが学校で好き勝手にふるまうようになってしまうことがあります。

好き勝手にふるまえるうちはいいのですが、次第に子ども同士の間で

「あの子の家は、何かあると親が出てきて面倒だから・・・」

と距離を取られてしまう危険性につながります。

それ以外にも、子どもが成長してくると、そうした過剰な要求を学校にする親の姿を見て違和感を覚えるケースもよくあります。

親からするといつまでも守ってあげなければいけない、と思っていた子どもが、子どもからするとそうした姿勢が嫌になっているのです。

「親に伝えると面倒なことになるから」

こんな風に学校での出来事を親に話さなくなってしまう子どもも少なくありません。

そうした子どもの姿を見て、「親にも言えないぐらいひどい目に遭っているはず」と学校に攻撃をしてきて、より子どもが委縮してしまったというケースもありました。

大事なことは、「子どものために」と思ってやっていたことが、いつの間にか「親が安心するために」に変わっていないかを振り返ることです。

では、モンスターペアレントだと思われないように、学校に要望を伝えるにはどのように伝えたらいいのでしょうか。

学校への要望の出し方

学校に要望を出す際に気を付けてほしいのは、

  1. 担任
  2. 学年主任
  3. 校長などの管理職
  4. 教育委員会

この優先順位で話をするということです。

いきなり担任の先生を飛び越えて校長先生に話に行くのは、担任の先生との今後の関係のことを考えるとおすすめしません。

きちんとした手順を踏んで相談に行っていただくことで、話がスムーズに運べるのでその点は気を付けていただきたいです。

相談の方法としては、

  1. 連絡帳で伝える
  2. 電話で伝える
  3. アポを取って直接伝える

この3つが主な方法です。

①、②の方法は軽い相談であれば手軽にできるのでおすすめです。

しかし、クラス編成のことや配慮をお願いするなどのような具体的な内容を伝えた方がいいものに関しては、できる限りアポを取って直接先生と話していただいた方が効果的です。

 

では、具体的にどのように要望を伝えていけばいいのでしょうか。

要望って具体的にどう出せばいいの?

一番最初に出した3つの例を使って具体的な伝え方をお話ししていきます。

来年度のクラス編成について

クラス編成の要望が、数ある要望の中でも一番多いかもしれません。

  • 引っ込み思案なので仲良しの子が一人でもいてほしい
  • よくトラブルになってしまう相手がいるので、クラスを離してほしい
  • 保護者間でトラブルになったことがあるので、クラスを離してほしい

このような思いでクラス編成の要望につながるパターンがよく見られます。

基本的には、上記のようなことをそのまま伝えていただいて大丈夫です

しかし、トラブルが原因でクラスを離してほしいという要望を伝える際には、相手が嫌だから離してほしい、というような伝え方ではなく、トラブルが続くとお互いのためによくないからというような形で伝えていただくと否定的に取られなくていいと思います。

また、要望を伝えた際に担任の先生の意見も聞いておくと安心です。

学校での子どもの姿は、家庭で見せる子どもの姿と違うことも多いので、先生の意見は非常に参考になります。

こうしてお互いの考えを共有していく中で、よりよい選択肢が見つかっていくかもしれません。

子ども自身が、自分がどんなことに不安を感じているか言葉にするのが難しいこともよくあります。

そんな時には、


 

この本を使って、子どもの不安な気持ちを整理するのもおすすめです。

気持ちを点数化したり、不安を軽減させる方法を考えたりと子ども自身のスキルを伸ばしていくことにもつながっていきます。

特性のある子どもへの配慮について

発達障害などの特性がある子どもの場合には、配慮についての要望を出すことがあります。

通級などに通っていれば個別支援計画が作成されていて、その計画に沿った配慮が得られます。

しかし、通級などに通っていないけれどなんらかの配慮があると安心、といった場合もあります。

たとえば、

  • 一斉指示の後に、個別で声かけをしてほしい
  • 板書を書くのがゆっくりで追いつかないので、板書を写真に撮りたい
  • 作品などを作る時にお手本をできれば用意してほしい

このような配慮が考えられます。

また、「去年の先生はいろいろと配慮してくれたのに、今年の先生はほとんど配慮してくれない」といった言葉もよく聞きます。

先生それぞれに配慮の質が異なってしまうのはどうしても出てきてしまうため、今年度の担任の先生とどこまでの配慮だったら先生が無理なくできそうか、ということを相談していただくとこうしたギャップが少なくなるかもしれません。

先生方も困っている子どもに対して支援をしていきたい気持ちをたくさん持っています。

しかし、どのような支援が必要なのかがわからなくて戸惑っているケースも数多かったです。

そこで、


 

こうした本を活用して、どのような困りごとにどのような支援が考えられるのかを確認してみるのもおすすめです。

実際にできるかどうかは学校の環境によっても変わってきますが、 選択肢があるかないかで話の進めやすさも変わっていきます。

不登校の中学校進学について

小学校6年生の段階で不登校だと、その後の中学校生活に不安を感じるのは当たり前の感覚です。

できれば進学先の中学校に事前に相談に行っていただくのが安心ですが、いきなり中学校に連絡を入れるのはハードルが高いと思います。

なのでスムーズに相談につながる方法としては、小学校の校長先生を通じて中学校の校長先生に相談希望の連絡を入れてもらう、という方法です。

そうして中学校との相談につながった際には、

  • 中学校の不登校支援
  • 適応指導教室やフリースクールなどの情報
  • 不登校になった際の学校との連絡のやり取りの方法

このようなことを確認していただくのがいいと思います。

特に、これから通うことになるであろう中学校の不登校支援の情報を確認しておけると、心構えなどの事前準備もできます。

もしも中学校の不登校支援があまり期待できないとなった場合には、適応指導教室やフリースクールなどの居場所となるような支援先の情報も併せて集めておくとより安心です。

 

要望はあくまで学校への協力を依頼するもの

確実に叶うものではないので、その点は念頭に置いておく!

学校に配慮をお願いするときにはどうやって伝えたらいいの?

学校に支援をお願いしたいと思っていてもどう伝えたらいいのかわからなくて困っています

こんな風にお悩みの方も多いのではないでしょうか。

支援をお願いする際に、伝えるポイントとして大切にしてほしいものは

学校への伝え方のポイント
  1. 子どもがどんな場面で困りやすいか
  2. これまでにどこか相談などでつなかってきた機関はあるか
  3. 今までどんな支援を受けてきたか
  4. どういった支援があると子どもは安心できるか

こうしたポイントを意識して伝えていただけるといいと思います。

最近では就学前に療育機関で支援を受けてきた子どもも増えてきているため、療育機関での支援記録なども資料として活用できます。

「言葉だけで説明すると伝え漏れがあるかもしれないと不安に感じる・・・」

という方は、上記のポイントを踏まえてA4で1〜2枚程度にまとめた資料を作成していただくのもおすすめです。

どうかいたらいいのか悩むときには、スクールカウンセラーや療育機関等の支援員などと相談して一緒に作成してみてください。

過去のエピソード

実際に、私が相談を受けたケースでいくつかのエピソードを混ぜたものを紹介します。

実際にあった支援の要望

《どんな時に子どもが困るか》

  • 好き嫌いも多く、食べられる量も少ないため給食の時間が不安
  • 新しい環境に馴染むまでに時間がかかり、行事などの特別な活動に参加するのも不安が大きい
  • 失敗したくない気持ちが強く、行動を起こすのに時間がかかるので周囲のペースについていけないかもしれない

《これまでにつながってきた相談機関等》

  • 地域の療育センターで週に1度の通所支援
  • 地域の幼稚園で集団生活

《今までに受けてきた支援内容》

  • 通所支援では行動の見通しを持てるよう、絵カードや写真を用いたスケジュール表を活用
  • 行事の際には事前にスケジュールを教えてもらい、前年度の様子などを写真等で一緒に確認
  • 幼稚園では、加配の先生が一人ついてくれて必要に応じて声かけ等の支援を行っていた
  • 給食の量を減らしてもらったり、食べる場所を先生の近くにしてもらったりなどしながら徐々に食べられる量や種類を増やしてきた

《学校に求める支援》

  • 給食の時間の不安が大きいため、量の調整や残しても大丈夫という声かけをしてもらえると安心できる
  • 一週間の予定がわかっていると見通しが立てやすくなるため、次の週の予定を金曜日にしらせてもらいたい
  • 周囲の様子を確認してから行動することが多いため、他の子に比べると行動が出遅れやすくなるため時々声かけをしてもらうと子どもも安心できる
  • 失敗に対する不安感も強いので、失敗しても大丈夫という声かけをしてもらえると嬉しい

こうした形で一緒に要望についてまとめたこともあります。

これはあくまで一例なので、子どもの状態によっても内容は変わってきます。


 

この本は、「学校とどうかかわっていけばいいのか」というお悩みについてわかりやすい言葉でまとめられていて読みやすくておすすめです。

スマホで見れるあるあるシチュエーション対応例は、つい「あるある」と言葉にしたくなるぐらいあるあるな内容なのでぜひ参考にしてみてください。

おわりに

今回は、新年度に向けての学校への要望の出し方についてお話ししていきました。

最後のポイントでも書きましたが、こうした要望を伝えたからといって必ずしも要望通りに叶うというわけではありません。

しかし、伝えないよりははるかに可能性が高くなるので、少しでも心配なことがあるようでしたら相談にいっていただくことをおすすめします。

もしも、こうした要望を学校に出していいのか心配、といったお悩みがありましたら地域のスクールカウンセラーや教育相談センター等に確認していただくと安心だと思います。

今回も読んでいただきありがとうございました。