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スクールカウンセラー

【おうちで実践!】小学生の子どもがきちんとやってくれないときにできること3選

小学校で相談を受けている時に、ママ達からお子さん達について

  • やるべきことがきちんとできない
  • ほめてあげたいのに、ちゃんとやってくれない
  • 学校ではできるのに、家ではできない

というようなお話を聞くことが時々あります。

そんな相談を受けた際に、私は療育的な観点からアドバイスをして、ママ達に実践してもらっています。

今回は、同じような悩みを抱えるママ達に向けて、家庭内で実践できる対処法についてお話ししていきたいと思います。

子どもはどうしてこんなことができないの?

上記の相談を受けている中で、ママ達からよくこんな言葉が出てきます。

「普通にやればできるはず」

そんな風にお話しされる方も多いです。

そもそも、「普通」って一体どんな状態なのでしょう?

言われなくても自分でやるべきことをやれるのが「普通」の状態なのか、みんなができることをちゃんとできることが「普通」の状態なのか、何だか難しいように感じます。

「普通」という言葉は、とても漠然としていて人それぞれ基準が違うものです。

「普通」という言葉で、子どものことを一括りにしてしまうと、お子さんが本当に困っていることに気づけない危険性があります。

なので、ママ達にはお子さんの状態が「普通」かどうかではなく、お子さん自身がどうなのかという視点で見てもらえるといいのではないでしょうか。

その上で、なぜお子さん達ができないのかということを分析していけると、対処の仕方も見えてくると思います。

おうちではどんな風にやってみたらいいの?

では、実際にご家庭内でどんな風にやってみたらいいのか、最初にお話しした相談内容に即してお話ししていきたいと思います。

やるべきことがきちんとできない

こうした相談を受けた際、まず私は

  • やるべきことは何か
  • きちんととはどういう状態か

の2点を具体的に確認させてもらっています。

たとえば、やるべきことでよく出てくるのが宿題や明日の準備です。

きちんとの状態は、人によってさまざまではありますが、毎日やることだから言われずともやる、ということが多いように感じます。

その上で、普段ご家庭内でどう対応しているかを伺って、お子さんができない状態になっている原因は何かを探っていきます。

  1. 宿題や明日の準備はどんなことをするのかわかっているのか
  2. 宿題や明日の準備のやり方はどうなっているか
  3. やる気が起きなくなっている原因はあるか

このような、3つの段階に分けて子どものできないを分析していきます。

何をするのかわからずにつまずいている場合

この状態では、いくら注意してもやるべきことが分かっていない子どもからすると非常に困ってしまいます。

なので、その場合にはわかりやすい手順表の作成などをお願いしています。

宿題が複数出ている場合には、どの順番でやるといいのか、どの時間帯でやればいいのか、などをホワイトボードなどに書いてあげると子どもからすると分かりやすくなります。

明日の準備に関しても、まずランドセルの中身を取り出す、連絡帳で明日の時間割を確認する、などの段階に分けた手順表を作成すると取り組みやすくなります。

やり方でつまずいている場合

この状態は、子どもがどこまでできているのかを細かく見ていく必要があります。

宿題は、全部やっていないのか、それとも漢字練習はやってあるけれど計算プリントはやっていないのか、などのように見ていきます。

明日の準備も、教科書は入れ替えたけれど持ち物まではやれていない、という場合もあるかもしれません。

そうすると、やらないではなくてやれなかったかもしれないという可能性や、子どもなりにやってみたけれどやった結果が不十分だったということに気付けるかもしれません。

そうすると、ママ達からすると手助けしてあげるポイントもつかみやすくなるのではないでしょうか。

全部やっていない場合については、次の段階でお話しします。

やる気にならずにつまずいている場合

もし、子どもがやる力は持っているはずなのに、その力を発揮しないということがあるとするならば、これまでの経験でその力を使ってもいいことがなかった、ということが原因かもしれません。

②の段階で、やったけれども中途半端な状態で終わってしまった子どもに対して、「ここができていない」と細かく注意したことがあるママも多いのではないでしょうか。

そうした出来事は、子どもからすると、自分でできる範囲でやってみたのに注意されて嫌な気持ちになったという思いから、だったら最初からやらなければいいやという考えにつながりやすくもなります。

大人でも、やったことに対して注意だけされたら嫌な気持ちになると思います。

それでも、大人が我慢できるのはこれまでの経験から、自分のことをフォローできる体制が整っているからです。

子ども達は、まだ自分のことをフォローをする体制が未熟なので、できたことを少しでもいいので認めてあげて自信をつけてあげることが重要なのです。

なので、この段階でつまずいている子どもに対しては、ママ達に少しでも子どもができたなということを見つけて、ほめる取り組みをしてもらいたいです。

ほめてあげたいけど、ちゃんとやってくれない

子どものことを「ほめてあげたい」という気持ちが強いママがほとんどだと思います。

しかし、「ちゃんと」してくれないので、なかなかほめてあげられないと悩むママも多いのではないでしょうか。

もしかしたら、その「ちゃんと」の基準が子どもに合っていない可能性はありませんか?

子どもにとってハードルの高い「ちゃんと」は、求められる子どもにとっても、求めるママにとっても非常に苦しいものになってしまいます。

なので、子どもの現状に合わせてハードルを設定してあげる必要があります。

たとえば、先ほど例に挙げた明日の準備で考えてみます。

明日の準備では最終的には、「自分一人で明日の準備を終えられる」が目標になるかと思います。

しかし、最初からその状態を求めてしまうとほめてあげることがなかなかできないです。

なので、目標に向けて少しずつできたことをほめていき、段階的にランクアップできるような働きかけが重要になっていきます。

まずは、ママと一緒に準備できるところから始めていき、少しずつ手伝いの範囲を狭めていきます。

できれば、手順表などを子どもと一緒に作成して、一緒に確認しながら進めていくようにするとなおいいと思います。

そうして段階を踏んでいき、徐々にママ達が思う最終目標に到達できるようにしてあげられると、ママと子どもにとってもやりやすいのではないでしょうか。

学校ではできるのに、家ではできない

特に、整理整頓や課題の取り組み等でこのような悩みを抱えるママが多いように感じます。

学校では、引き出しも整えられていて、持ち物も管理できているのに、家では散らかし放題で物をなくしてしまう。

課題も、学校では先生に1度声掛けされただけで進められるのに、家では何回声掛けしてもやろうとしない。

このような子どもの姿が見られるのではないでしょうか。

見方を変えると、子どもの中で家の「中」と「外」の場面を区別できるようになってきた成長の一つでもあります。

しかし、ママ達からすると家の中でも学校と同じようにとまではいかずとも、それなりにやってもらいたいというのも正直な気持ちだと思います。

学校ではできるのに家ではできない、その違いはどこからくるのでしょうか。

可能性として考えられるのは、環境の設定と声掛けの仕方、かもしれません。

学校では、決められた持ち物を決められた通りの場所にしまうので持ち物の管理はできるけど、家の中だとどうしても物が多くなりがちで管理するのも一苦労、という状況に陥りがちです。

課題に関しても、学校では授業中にみんなが同じように課題をやっていて、静かな環境でできるけれど、家の中ではきょうだいが遊ぶ中で自分だけ課題をするのは難しいということも考えられます。

また、声掛けも先生たちはやった後にほめてくれたりフォローしてくれたりするけれど、家の中では特にほめられもフォローもされずただ注意されているだけ、という場合もあります。

それ以外にも、先生の子どもを誘導する力がとても優れていて、うまくその気にさせてくれているということも考えられるかもしれません。

大事なことは、家でも学校でも子どもが力を発揮できるためにどのように環境を整えていくかを考えることです。

なので、家と学校での子どもの姿の違いだけではなく、先生とママとの対応の違いについても考えてみる必要があるのです。

すべてを学校と同じようにしていくのは難しいと思うので、どこまでならできるのかをご家庭の状況に応じてスクールカウンセラーと一緒に考えてみるのもいいのではないでしょうか。

おわりに

今回は、小学生の子どもがきちんとやってくれない時にご家庭でできること、についてお話ししていきました。

実際の相談では、こうしたアドバイスをご家庭内で実践していただき、その結果どうなったかの振り返りまでをセットにして対応しています。

基本のパターンは今回お話しした通りなのですが、このパターン通りに行く子どもはそこまで多くはありません。

なので、子どもの実態に応じてやり方を工夫していきながら、ご家庭の状況と子どもに合わせたやり方をママと一緒に作り上げていくのが私の役目でもあります。

各家庭の状況によって、対応の仕方も変わってくるので、疑問に思うことがありましたらお問い合わせよりコメントを募集しています。

今回も読んでいただきありがとうございました。

また次回も読んでもらえると嬉しいです。