スクールカウンセラーとして相談を受ける中で、ダントツに多い相談内容はやはり不登校の相談です。
そうした相談を受けていく中で、よく話題に上るのが別室登校と呼ばれるような教室以外での登校支援です。
学校のよって「別室登校」の受け入れ方法はさまざまだとは思いますが、今回は私が実際に相談対応に当たったケースを基に「別室登校」についてお話ししていきたいと思います。
そもそも別室登校って何?
別室登校とは、何らかの事情で教室で授業を受けられない子どもが、学校内の教室以外の場所で活動することを言います。
具体的には、保健室や相談室、空き教室などを使っての対応が多いように見受けられます。
活動も自習などの学習につながるものだけではなく、別室に来ている子ども達とコミュニケーションを取ったり、先生のお手伝いをしたりとさまざまです。
別室登校の時間帯や別室の滞在時間などは子どもの状態に応じて変えていきます。
最初のうちは10~30分などの短い時間からスタートして、徐々に時間を延ばしていくのが一般的だと思います。
- 別室登校の場所は保健室、相談室、空き教室などさまざま
- 学校の状況に応じて、子どもにとって居心地のいい場所を見つけていくことが大事!

では、別室登校では実際にどんな取り組みが行われているのでしょうか。
別室登校の取り組みってどんなもの?
別室登校をした際の子ども達の活動内容は、先生と一緒に決める場合もあれば子ども自身で決める場合もあります。
前者は小学生が多く選ぶ方法で、後者は中学生が多く選ぶ方法のように感じます。
小学生と中学生の別室登校の取り組み方を比べると、
- 活動内容:先生や保護者などと一緒に計画を立てる
- 過ごす場所:保健室や相談室、空き教室(学校によっては専用の教室を設置しているところもある)
- 時間帯:担任の空き時間や手の空いている先生がいるタイミング
- 活動内容:自分で学習計画を立てる
- 過ごす場所:保健室や相談室、空き教室(学校によっては専用の教室を設置しているところもある)
- 時間帯:子どもの行けるタイミング(学校によっては専用教室の開設時間のみ受け入れ可能な場合もある)
小学生だと、別室登校をして何をすればいいのかを考える力が弱いところがあります。
その点を先生やスクールカウンセラーなどが、子どもと一緒に考えて補っていけると別室登校の充実した過ごし方につながるのではないでしょうか。
中学生にもなると、今の自分には何が必要なのかやこの場所では何をしていいのかを考える力が身に付いています。
そのため、中学生は自分で別室登校のスケジュールを立てている子が結構多い印象を受けます。

こうして、別室に登校してきた子どもたちは、
- 学校や塾などの教材を使った自習
- 図工や美術などの課題制作
- 先生のお手伝い など (学校の状況によって異なる場合もある)
のような活動をしていることが今までの経験の中ではとても多かったです。
中でも、小学生で学校に来ることへの抵抗感を減らそうという段階の子どもには、先生のお手伝いのような活動は負荷も低く、達成感も得られやすくて非常に効果的でした。
また、別室とはいえ学校内にあるので、休み時間等にクラスメイトや仲の良い友達と交流することもできます。
教室内で会うのは怖くても、別室という自分にとって安心できる場所なら友達と会える、という子どももいるのでその辺は臨機応変に対応していくのがいいのではないでしょうか。
- 別室でどう過ごすかは子どもの状況に応じて工夫が必要
- 少しでも子どもにとって居心地のいい空間にできるかどうかが長続きの秘訣!

では、実際に別室登校を使っていくと子ども達にはどのような変化があるのでしょうか。
別室登校をしていくと子どもはどう変わっていくの?
この記事を読んでくださっている方が気になるのは、別室登校をさせてしまうと教室に戻れなくなってしまうのではないか、という点だと思います。
私の経験上、小学生の子どもは別室登校をしても、しばらくすると教室に戻れる子が比較的多い印象があります。
小学校だと先生たちが積極的に教室に戻れるような働きかけをしてくださっていることや、子ども達同士の距離感が程よいのがポイントだと思います。
別室登校をしている子ども自身もそこまで身構えずに友達と交流したり、自分の得意な授業を教室で受けたりできるのも小学生に多い特徴です。

中学生になると、周囲からの視線や評価が気になってくるので、別室登校をするとなかなか教室に戻ろうという勇気が出てきにくいパターンがよく見られます。
また、中学校では教科担任制になるので先生たちは、小学校の先生ほど丁寧にフォローをしてもらいにくいということもあります。
なので、どのタイミングで別室登校をするかによっても、教室に戻れるかどうかに影響があるかもしれません。
【メリット】
居心地のいい空間に登校することができて、自分の無理のないペースで活動できる
【デメリット】
年齢が上がるにつれて、教室に入らない時間が増えるほど教室に戻りにくくなってしまう

私自身、相談の中で中学生にはこうしたメリット・デメリットを伝えて、どの選択が自分にとっていいのかを子ども自身によく考えてもらっています。
どちらの選択肢を選んでも「間違い」というものはありません。
子ども自身が自分の状態と今後のことをしっかりと考えた上での決定は、その子にとっての「正解」だと私自身は考えています。
こうした決定のサポートをするのもスクールカウンセラーとしての支援の一環です。
実際に中学生の子どもと話をしていく中で、「別室登校をやってきてよかった」という話を聞く機会も少なくありません。
子ども達が自分に向き合って決めた結果は、きっと子ども達の自信につながると信じて相談を続けています。

おわりに
今回は別室登校について私の経験を基にお話ししていきました。
普段の相談業務の中で、先生たちから「学校に来てもらえることが嬉しいから、別室登校は大歓迎」という声をよく聞きます。
学校によって保健室が別室登校の場所に使えなかったり、受け入れの先生が付けられなくて特定の時間しか別室登校ができなかったりとさまざまな制約があります。
それでも、その制約の中で少しでも子ども達のために何ができるのかを、みんなで一生懸命知恵を出し合って別室登校を運営しています。
1つのやり方が成功したからといって、それがすべての子どもに合うわけではありません。
なので、一人ひとりの子どもに合ったスタイルを、みんなで考えていける関係を築いていくことが何よりも大事です。
ご家庭からだとなかなか学校に対して要望を出しにくい、という気持ちもあるかと思います。
そうした時には、スクールカウンセラーに相談してみて、その学校の別室登校がどういう形で行われているかを聞いてみるのもいいのではないでしょうか。
今回も読んでいただきありがとうございました。








