スクールカウンセラーとして勤務している中で、
- 子どものまばたきの数が多くて気になる
- ふとした時に肩をすくめる動作をするので心配
- 頻繁に咳払いをするのを止めさせたい
のような相談を受けることがあります。
もしかしたら、上記のような症状はチックかもしれません。
そこで今回はチックについてお話ししていきます。
チックってどんなもの?
チックとは本人の意思とは関係なく体の一部を素早く動かしたり、発声したりなどを繰り返すといった状態が一定期間続くことを言います。
- 症状
- 発症時期
- 経過
- 治療法
症状
チックの症状は運動性チックと音声チックの2種類があります。
それぞれ、どのような症状かというと運動性チックの症状は
- まばたき
- 顔をしかめる
- 肩をすくめる
- 地団駄を踏む
- ジャンプする
このような動きを本人の意思とは関係なく繰り返しやってしまいます。
まばたきが最初のチック症状になることが多く、そこからチックの可能性を考えるママもいるかもしれません。
音声チックの症状はどういうものかというと
- 鼻を鳴らす
- 咳をする
- 舌を鳴らす
このようなことをわざとではないのに繰り返しやってしまいます。
チックは運動性チックから発症することが多い!
⇒子どもの普段とは違う動きをしていたら注意深く観察する
発症時期
4~11歳頃の男の子に多いです。
特にまばたきや顔をしかめるなど、顔の中心の運動性チックから発症しているパターンが今まで相談を受けていた中では多かったです。
入学や入園などの環境が変わるタイミングや習い事の発表会などの緊張するイベントの前後といった、子どもにとってストレスのかかるイベントがあったことがきっかけで発症した、という話もよく聞きます。

経過
症状は強くなったり、弱くなったりを繰り返しますが、多くの人は1年以内に症状がなくなります。
慢性化した場合、思春期頃に一番症状が強くなりますが、大人になるにつれて多くの人が症状が改善するかなくなるかします。
治療
チックの治療は、症状が軽い場合と重い場合で選ぶ方法が違います。
〈症状が軽い場合〉
薬物療法は行わずに環境調整を行います。
環境調整によって子どもの身体的・心理的ストレスを減らしてあげて、安心できる環境を整えてあげると症状が改善されることが多いです。
学校や幼稚園・保育園では、先生や友達などの周囲の人の理解も得られるとより安心につながります。
〈症状が重い場合〉
チックの症状が日常生活に支障をきたすほど起きてしまい、子どもの自己肯定感が下がってしまう時に薬物療法が選択肢に入ることがあります。
一度、薬物療法を選択したからといって、一生薬物療法をしなければならないというわけではなく、症状がおさまったり子ども自身がチックがあっても困らない状態になったら薬物療法を終えます。
子どもの症状が軽いか重いかの判断をママ達だけでするのは難しいと思います。
そういった場合には、
- スクールカウンセラー
- 教育相談センター
- かかりつけの小児科
- 地域の子育て相談窓口
などに相談していただくといいのではないでしょうか。
症状を指摘したり、チックを止めるよう責めたりするのは症状の悪化につながる!
子どもの安心できる環境を作ってあげることがチックの改善の第一歩!

おわりに
今回はチックについてお話ししていきました。
子どもがチックを発症する原因はさまざまではありますが、何かしらのストレスが影響している可能性はとても高いです。
スクールカウンセラーとして相談を受ける中でも、ピアノの発表会の練習が始まった時からチックが出てきて、ピアノの発表会が終わったらチックが治った、という話を聞くことがありました。
このように、子ども自身が言葉で表現できないストレスがチックという症状を伴って、自分のストレスを表現しているのかなと思うことが多くあります。
特に、言葉の表現力がまだ弱い未就学の子どもはその傾向が強いように感じます。
ピアノの発表会のようにストレスになりそうな原因がはっきりしている場合はいいのですが、原因がはっきりしない場合もあるのがチックの環境調整で悩んでしまうところです。
環境調整には、日頃から子ども達の様子をよく見ているママ達からの情報がとても重要なポイントになってきます。
ご家庭だけでどのように環境調整をしていけば悩んだ時には、ぜひスクールカウンセラーなどの専門家に相談していただけるといいのではないでしょうか。
今回も読んでいただきありがとうございました。
また次回も読んでもらえると嬉しいです。