発達障害の診断を受けた子どもの中には、これからの生活の質を高めるために療育を受ける場合が出てきます。
そうした療育について時折、
「療育では一体どんなことをやるんですか?」
という質問を受けることがあります。
そこで、今回はそんな療育についてお話ししていきます。
そもそも療育って何?
療育とは、もともとは身体に困難を抱えている子どもに対する「治療教育」を略した言葉でした。
しかし、最近では障害の種別にかかわらず、子どもの発達を支援するためのアプローチのことを「療育」と指すようになりました。
ひとりひとり発達のスピードが違う子どもに合わせて、支援計画を立てて療育を行うことにより、子ども達それぞれの課題に効果的なアプローチができるのが療育の特徴でもあります。
療育ではその場での支援だけではなく、家庭や学校など子ども達の実際の生活の場でも使える方法をアドバイスしてくれるため、日常的に取り入れることもできます。

では、実際に療育ではどのようなことが行われているのでしょうか。
療育ではどんなことが行われているの?
療育には、さまざまな手法や分野がありますが、今回は療育の中でもメジャーな手法についてお話ししていきます。
療育でメジャーな手法は、
- OT
- ST
- PT
と呼ばれる3つです。
①OTってどんなことをするの?
OTとはOccupational Therapyの略で、作業療法士が行う作業療法のことを言います。
発達の特性がある子どもは手先が不器用な子が多く、OTによって手指のトレーニングをすることで日常生活のスキルを高めていきます。
具体的にどのようなことをするのかというと、
- ハサミを使って切り絵をする
- 塗り絵
- 迷路
- ビーズ通し
のような、手先を使った作業がメインになります。
はたから見ていると遊んでいるだけのように見えるかもしれませんが、子どもに合わせて課題を設定し目と手の協応を高めていけるのがOTの特徴です。
日常生活ではボタンの着脱、学校場面では図工の制作などさまざまなものにOTで学んだことを生かせます。
ご家庭でも、
のような子どもが楽しめるおもちゃを使って、指先のトレーニングをしてみるのもいいかもしれません。

②STってどんなことをするの?
STとはSpeech Therapyの略で、言語聴覚士が行う言語聴覚療法のことを言います。
コミュニケーションに課題がある子どもが、自分の気持ちを上手に伝えるためのコミュニケーション方法を学んでいきます。
口の動かし方のトレーニングなどもするため、吃音などがある子どもがSTを受けて吃音の状態が改善したということもありました。
そうしたトレーニング以外にも、言葉に頼らないコミュニケーション方法を学ぶのがSTの特徴で、
- 指差しでのコミュニケーション
- 絵カードを使った気持ちの表現
- 筆談でのコミュニケーション
のようなさまざまなコミュニケーション方法の中から、子どもに合ったものを見つけていきます。
こうしたトレーニングを重ねていくうちに、子ども自身が自分でSOSを発信できるようになります。
ご家庭では、
のような絵カードが取り入れやすいかもしれません。

③PTってどんなことをするの?
PTとはPhysical Therapyの略で、理学療法士が行う理学療法のことを言います。
発達の偏りがある子どもは、ボディイメージや体幹が弱かったり、体の動かし方が不器用だったりする子も少なくありません。
OTでは手先の細かい運動でしたが、PTでは全身を使った大きな運動を行うのが特徴で、
- トランポリンやバランスボールを使って運動
- 筋力トレーニングをして筋肉の量を増やす
とやり方もさまざまです。
子ども達それぞれの筋肉の状態や骨格などを見極めながら、効果的なトレーニングを積み重ねていくことによって自分の思い通りに体を動かす練習をしていきます。
ご家庭では、
のような器具を使っての体幹トレーニングがやりやすいかもしれません。

では、療育を受けたいと思った時に、実際にどこで受けられるのでしょうか。
療育はどこで受けられるの?
子どもに療育を受けさせたい時には、
- 病院
- 自治体の療育センター
- 民間の療育機関
などで療育を受けられます。
しかし、受けたいという希望がすべて叶うわけではなく、診断を受けた結果として療育を受ける必要があるとなった時に療育は受けられます。
もし、自分の子どもに療育を受けさせたいけど受けられるのかどうかが気になる、という方がいらっしゃったら一度専門機関に相談に行っていただくのもいいと思います。
最寄りの機関がどこかわからない、ということがありましたら
- 自治体の子育て相談窓口
- 幼稚園・保育園の巡回相談
- スクールカウンセラー
などに相談していただくとさまざまな情報が手に入ります。

おわりに
今回は、療育についてお話ししていきました。
療育にはOT・ST・PT以外の方法もあるので、いずれその他の方法についてもお話ししていきます。
ここ数年、小学校に入学する前に療育施設に通所していた、という子どもが年々増えてきているように感じます。
早期に療育を受けた子どもは、小学校に入学後に支援を必要としなくなることも多いので、できる限り療育は早い段階で受けられた方が子どものためにもいいと思います。
療育を受けることによって、子ども自身が自分の体を上手にコントロールできるようになってくると、それだけでストレスが軽減されていきます。
子ども達それぞれの課題は異なります。
その中で、子どもに合わせた支援の在り方を考える手段の一つとして療育を選択していただくのもいいのではないでしょうか。
今回も読んでいただきありがとうございました。