夏休みが明けて2週間が経ちました。
段々と学校がある生活に馴染んできたご家庭も多いのではないでしょうか。
その中で、
「夏休み中に生活のリズムが崩れて、夏休みが終わっても昼夜逆転の生活が続いていて学校に行けなくなってしまった」
という相談も増えつつあります。
そこで今回は、子どもの昼夜逆転が続いている時にご家庭でできる対処法についてお話ししていきます。
Contents
昼夜逆転になってしまう原因は?
子ども達はさまざまなことがきっかけで昼夜逆転になってしまいます。
相談の中でよく聞く原因は、
- スマホやゲームによる夜更かし
- 不安などで寝つきが悪い
- 起立性調節障害
この3つが挙げられます。

①スマホやゲームによる夜更かし
特に、この原因が相談の中でもよく出てきます。
最近のスマホやゲームのコンテンツは魅力的なものも多く、一度やり始めるとなかなか終われません。
そうした中で、
- スマホやゲーム以外に楽しめるものが何もない
- 学校や家庭などで居場所がないと感じている
- 刺激的なことにハマりやすく、熱中すると止めにくい
こんな悩みを抱えている子どもが、スマホやゲームの世界に居場所を求めて昼夜逆転になってしまうケースをよく見てきました。
特に、「居場所」を求めてスマホやゲームをやっていると、なかなかそこから離れるということが難しくなってきます。
夏休み中にさまざまな場所にネットの世界でつながって、居場所が作れた安心感があると「ずっとつながっていたい」という思いでますますネットの世界に夢中になっていくのは自然なことだと思います。
こうした子どもの思いがあることを知るだけでも、ご家庭での接し方も変わってくるかもしれません。

②不安などで寝つきが悪い
大人でも不安なことがあると寝つきが悪くなってしまうことがあるかと思います。
子ども達も、
- 「夏休み明けに仲間はずれにならないかな」
- 「夏休み中に誰とも遊べなかったけど、学校で話せるかな」
- 「夏休み明けのテストができるか心配」
こうした不安を抱えて寝つきが悪くなっていることもあります。
大人から見ると些細なことでも、子ども達の限られた世界の中ではとても大きな問題のように感じてしまうことも今までにたくさん見てきました。
不安を感じることが悪いというわけではありませんが、不安が大きすぎて生活に支障が出てしまうようなら少しずつ改善していかなければなりません。
「悶々と頭の中で不安がぐるぐるとして寝つけずに、寝るのが朝方になってしまった」
こういう状態が続くと、朝方に眠るのが自然だと身体が認識して昼夜逆転になってしまいます。
特に、このタイプの子どもは夏休みが明ける1週間ぐらい前から夏休み明けの学校のことが不安で昼夜逆転になってしまうことが多いように感じます。

どんな時にどのような不安を感じるかを整理するだけでも気持ちが落ち着くことがあります。ご家庭でできる気持ちの整理の仕方についてまとめてみました
③起立性調節障害
昼夜逆転になっている子どもの中には、こうした病気が原因となっている子も少なくありません。
- 「朝起きて活動したいのになかなか起きられない」
- 「起きようとしても身体の力が入らず、思い通りに動かせない」
こうした言葉を子ども達から聞くこともあります。
朝起きられない=起立性調節障害というわけではありませんが、「もしかして」という感覚を持つことも大切だと思います。

起立性調節障害の症状や治療法についてまとめてみたので、詳しく知りたい方はこちらも参考にしてみてください。
では、こうした子ども達に対してご家庭でできることにはどのようなものがあるのでしょうか。
子どもの昼夜逆転に家庭でできる対処法3選
「明日から昼夜逆転を治そう!」
そう言われてすぐに実行できる子どもはいないと思います。
- 昼夜逆転の状態でもいいと思っている
- 治したいけど身体が言うことを聞かないからできない
- まずいなと考えているけど、いまいちやる気が出ない
こうした思いを抱えている子が今までの相談の中でのとても多かったです。
子ども自身が「昼夜逆転を治そう」という気持ちを持てないと、周囲の大人だけが躍起になって家庭内の空気が悪くなってしまう危険性が高まります。
そこでご家庭では、
- 日中に子どもが興味を持って活動できるものを探す
- 睡眠記録表を作って、生活のリズムを一緒に考える
- 家庭以外で安心して活動できる場所がないか探す
この3点を意識していただくのがいいと思います。

①子どもが日中に興味を持てる活動探し
原因の中でもお話ししたように、子どもにとってスマホやゲーム以外にやることがない状態というのはとても退屈でつまらないものです。
特にやることがないからと、だらだらと動画を見続けたりゲームをやり続けたりしてしまう状態はあまりいいことではありません。
居場所がない子どもも、ネットの世界以外に居場所が見つけられたら活動の幅も広がるかもしれません。
今までの相談の中では、
- 好きなアニメやゲームのイベントに参加する
- 期間限定のグルメを食べに行く
- ちょっと遠くに旅行する
こうしたことから少しずつ外の世界に意識が広がっていったことが多かったです。
「明日はポケモンカードの大会があるから、絶対に寝坊できないんだ」
そう言って、次の日に頑張って起きて大会に参加した子もいました。
このように自分にとっての居場所がどんどん増えていくにしたがって、少しずつ昼夜逆転が治っていくようなケースをよく見ました。
これはあくまでも一例なので、「その子にとって興味があるものは何かな」という視点で考えていただくのがいいと思います。

②睡眠記録表を使って生活リズムの立て直し
昼夜逆転の相談を受ける中で、よく活用するのが睡眠記録表です。
その言葉の通り睡眠を記録するものになるのですが、相談の中で子どもの睡眠時間の話になると意外とどのご家庭も子どもの睡眠の状態をそこまで把握していないことが多かったです。
- 共働き家庭で、子どもが起きてくる時間にはもう仕事に行っている
- 子どものことを考えるとイライラしてしまうので、なるべく関わらないように生活している
こうした理由から子どもの睡眠の状態を把握していないという話をよく聞きました。
子ども自身も「自分が何時に寝て何時に起きているのか」ということをわかっていないことがよくあります。
子どもの睡眠の状態を把握しないで、昼夜逆転を改善しようとするのはとても難しいことです。
まず子どもの睡眠の状態を把握するために睡眠記録表を作成し、今どういう睡眠の状態なのかを親子で確認することが昼夜逆転を改善するためには大切です。
睡眠記録表を作成しておくと、病院を受診しようとした時にも参考資料として使えます。
睡眠記録表は手書きでなくとも、アプリやスマートウォッチなどを使って作成できるので、そうしたものを活用するのもおすすめです。
アプリやスマートウォッチならば、子ども達も抵抗感なく取り入れやすいかもしれません。
今の睡眠の状態を把握し、改善のポイントを一緒に探していけるように働きかけができたことで、少しずつ昼夜逆転が改善していったケースもありました。
家庭で話し合うことが難しい場合には、スクールカウンセラーなどを活用してみるのもいいかもしれません。
家庭以外の居場所探し
日中に起きれたとしても、やることがなかったり居場所がなかったりしたら子どもにとって日中に起きた意味がありません。
学校が居場所になるようなところであればいいのですが、昼夜逆転になってしまう子ども達からすると学校は居心地のいい場所ではないかもしれません。
「朝起きても、やることもなければ行くところもない」
こういう状態では、昼夜逆転を治そうという気持ちにはなりにくいです。
家庭以外にも居場所があればいいのですが、どんな選択肢があるのかわからずに困ってしまったという相談も数多くありました。
そんな時には、
- 適応指導教室
- フリースクール
- 地域のイベント
こうした情報をお伝えして、子ども達の反応を見てきました。
家で過ごすことに暇を持て余してきた子ども達からは、前向きな反応が返ってくることが多かったように思います。
初めての場所への抵抗感や不安を感じる子どもも多かったので、まずはママだけで見学に行ってみてその場所の雰囲気を探ってみるのもおすすめです。

適応指導教室って聞いたことはあるけど、どんなことをするところかはわからないという声をよく聞きます。地域によってさまざまな活動内容はありますが、私が勤務している地域の様子についてまとめてみました。
フリースクールといっても千差万別です。活動状況や利用手順などさまざまなことが気になるかと思います。そんなフリースクールについてまとめてみました。
そもそも適応指導教室やフリースクールに行かせた方がいいのか、そんなお悩みを抱えているママも少なくありませんでした。「必ずしも行く場所」というわけではない、安心できる場所の一つとして提案できると子どもにとっても受け入れやすいです。
おわりに
今回は、夏休み明けの昼夜逆転にご家庭でできる対処法についてお話ししていきました。
夏休みなどの長期休暇は、生活リズムが乱れやすい時期でもあります。
コロナ禍や猛暑日の増加などで、部活などの活動日数が減ってきたことも影響しているかもしれません。
今年度は、少しずつ部活動や地域イベントも復活してきていますが、それでも以前と同じような活動が難しい場面も少なくないです。
さまざまな制限の中、子ども達が生きづらさを感じてしまうのは自然な流れとも言えます。
昼夜逆転はそうした子ども達のSOSの声だと思い、日々の相談でも見逃さないようにしていきたいです。
今回も読んでいただきありがとうございました。








