普段、スクールカウンセラーとして働いている中で直接子どもから相談を受ける機会が数多くあります。
実際に子どもからお話を聞いた中で、子どもの了解を得てママたちや先生方に相談内容を共有させていただくことも少なくありません。
そうしてお話しさせていただく中で、
「どうしたらそんな風に子どもから話を聞きだせるんですか?」
と聞かれることがよくあります。
もちろん、カウンセリングのテクニックによって子どもが話しやすい空気を作っていることも関係していますが、それだけではありません。
さまざまなグッズを活用して、場を和ませて話しやすい雰囲気づくりを行っていることも影響が大きいです。
そこで今回は、ご家庭でも使えるカウンセリングで使っているグッズについてお話していきます。
スクールカウンセラーは初めの声かけをどうしている?
相談室に来る子どもは、
- 「話したいことがあるけれど、どんな風に話したらいいのかわからない」
- 「初めて会う人に話すのは緊張する」
- 「先生(ママ)に言われたから、相談室に来たけど特に話すことはない」
こんな気持ちでいることがとても多いです。
そんな中、いきなり最初から本題を話せる子はほとんどいません。

そこで、普段の相談の中では
- スクールカウンセラーの自己紹介
- 相談室がどんな場所かという説明
- 今日ここに来た目的、誰かに来るように言われて来たのかについて確認
- すぐに本題に入るのが難しいようであれば雑談等で雰囲気を和らげる
こんな形で私はお話をさせてもらっています。
特に、①と②は初めての場所で緊張している子どもにとっては、どんな人がいてどんな場所かを知るためにもとても大切なことなので、丁寧に時間をかけて説明します。

③で相談室に来た目的や誰かから言われたのかについて確認するのは、その子自身がどこまで相談に来ることに納得しているのかを把握するために必要です。
この確認で大事なことは子どもが、
自分は話したいことも話すつもりもないのに、誰かから言われて相談室に無理やり連れてこられた
という気持ちの状態のままで帰らないようにすることです。
無理やり話を聞き出そうとすればするほど子どもの心は離れていきます。
子ども自身に相談に来ることの納得感がなければ、カウンセリングの意義と目的を伝えた上で本人にどうするかの決定権を渡します。
もし、子ども自身から「今回は話したくない」と言われたら、その時点でカウンセリングはおしまいです。
カウンセリングを受けてほしいと思ってつないでくれた、ママたちや先生方からすると残念な気持ちになるとは思いますが、何よりも話す子ども自身の納得感が大切なので、こうした決断があることも知っておいてほしいです。

④で、雑談等をするのは緊張した状態では本来話したかったことを話すのに難しくなってしまうため、あえて本人の好きなことや最近の様子などの関係ない話から話すことでカウンセリングの準備運動をしているイメージでいただくのがいいと思います。
雑談の際に、どんな話題を選ぶと子どもたちの反応がよかったのかを次にお話していきます。
子どもと盛り上がる雑談のテーマは?
子どもとの雑談で盛り上がる内容の鉄板は、
- アニメ・漫画
- ゲーム
- 推し活
この3つです。
特に、不登校傾向の子どもで家にいる時間が長くて、家の中でやりやすく好きな子が多いのが①と②の話題です。
私自身も趣味で漫画を読みますし、ゲームもそれなりに楽しんでいます。
こうした共通の話題があると子どもたちにとっても話しやすさが格段に上がり、「また話に行きたい」と思ってもらいやすい要因にもつながります。
もちろん漫画やゲームをやったことがない・知らないというママたちも多いと思います。
知らなくても「あなたの好きなものを知りたい」という気持ちで話を聞いていくうちに、子どもたちの言葉がたくさん引き出されてきます。

私自身、自分の知らない漫画やゲームの話題が出たらすぐにタブレットやスマホで検索し、子どもと一緒に確認しながら話をしています。
そんな風に話を続けていくと、子どもの方から
「こんなことでも話していいんだ」
という言葉が出てくるようになるので、その時にカウンセリングは無理に話を聞き出すものではなく話したいことを好きに話せる場所だということを再度伝えていきます。
実際に漫画やアニメ、ゲームの話などで盛り上がっていたこともあってか、すんなりと子どもの中でカウンセリングを受けることが自然な状態にもなっていくことが多かったです。

③の推し活という言葉を聞いたことがあるママも多いかと思います。
実際にママ自身にも推しがいて、子どもと一緒に推しているという話を聞くことも少なくありません。
推しの対象はアイドルに限らず、YouTuberや歌い手、漫画などのキャラクターなど多岐に渡り子どもたちも生き生きとした表情で話してくれることが多いです。
不登校で引きこもりだった女の子に推しが見つかり、推しのイベントに参加するために外出ができるようになってきたケースもあり、推しがいることが子どもたちにとっての生きがいにもつながったこともありました。
推しが一緒ということで、リアルやネットで友達ができて居場所も見つかったという子どもも多く、そうした推しの話題は子どもたちにとっても話しやすいものだったのだと思います。

では、こうした子どもとのカウンセリングの中で、話す以外にも何かすることはあるのかについて次にお話していきます。
子どもとのカウンセリングで話す以外の方法は?
以前、このブログでもプレイセラピーについてお話していきましたが、子どもとのカウンセリングの中に遊びを使ったセラピーというものがあります。
特に、小学校の低学年や緘黙傾向のある子どもなど言葉での表現が難しい子に使われるものです。
こうしたプレイセラピーとまではいかなくても、私自身普段のカウンセリングの中でゲームを取り入れながら話を進めることがよくあります。
ご家庭でも、子どもと一緒に作業をしている時の方がじっくりお話ができたという場面もあるのではないでしょうか。
実際のケースでも、
「子どもと一緒に散歩している時の方が、家で過ごしている時よりもよく話してくれる」
という言葉を聞く機会がとても多かったです。

そうしたことからも普段の相談の中では、さまざまなゲームを使って一緒に遊びながら話を進めています。
実際のカウンセリングで使っているグッズ
上記でもお話ししたように、子どもとのカウンセリングでは一緒にゲームをしながらお話をしていくことで子どもの話しやすさにつなげています。
ご家庭でも、一緒にゲームをしながら話をしてみると今までとは違った子どもたちの言葉が引き出せるかもしれません。
こうしたご家庭でもあるようなゲームも、カウンセリング場面ではよく使います。
上記のゲームは私物で中学校に持ち込んだものですが、シンプルな構造ですが戦略的に動かす必要がありどの子も熱中して何度も遊んでくれたのでとてもおすすめです。
こうしたゲーム以外にも、
といった感情のコントロールやSSTを目的としたゲームを活用することもあります。
こうしたゲームは特にASD(自閉症スペクトラム)傾向の子どもにとてもはまりやすく、どの子も楽しく活動することができていました。
ゲーム以外にも、
こうした本を活用してカウンセリングを行うこともあります。
特に、学習が苦手な子どもにとってはゲーム感覚で認知機能や視覚機能のトレーニングができるのでとてもおすすめです。

おわりに
今回は、私自身が実際のカウンセリング場面で使っているグッズについてお話ししていきました。
どれもご家庭でも取り入れやすいものとなっているので、この春休み中にぜひやってみていただけると嬉しいです。
もしかしたらいつもと違った子どもの姿が見られるかもしれませんよ。
今回も読んでいただきありがとうございました。








